Hanes

【築地居留地料理再現シリーズ第2弾】セルリーソース


こんにちは。アクティブな活動はもう少しお休みのHanes(ハネス)です。
雨のため外出しないことも多く、おうち時間を利用して久しぶりに築地居留地料理を再現してみました!

そもそもタイトルにある「築地居留地料理再現シリーズ」とは、野村高治『築地居留地の料理人:宣教師マダム・ペリーの料理レシピ126』(清風堂書店、2017年)に掲載されているレシピに基づき、築地居留地で食べられていたであろう料理を作ってみようというものです
しかし、ただ料理をするだけではなく、材料の一部を築地で調達することで築地のお店をご紹介し、築地の魅力の発信を兼ねることを目的としています。
(※今回は感染症の状況を考慮して店頭での取材は控え、身近なお店で手に入る材料で調理しています。)

ただし、作り手は自己流創作料理が主の私です(笑)
レシピ通りの調理を意識をしながらも適宜アレンジを加えているので、温かな目でご覧いただけると幸いです。
初回の再現料理および宣教師マダム・ペリーについては、「【築地居留地料理再現シリーズ第1弾】スプリングスープ」にてご紹介しています。

さて今回は、夏らしい爽やかさをイメージさせる「セルリーソース」を作ってみました!

セルリーソース:材料と作り方

■材料
・セルリー六本(オランダみつば)*脚注:セロリ
・スープ二合
・クリーム一合
・ハーブス
・レモン汁
・バタ
・粉

今回料理をするにあたり、材料の調達可能性と手間を考慮し、スープとして固形のコンソメチキンを使用。
また、個人的な好みにより、バターの代わりにオリーブオイル、クリーム(おそらく生クリーム)の代わりに低脂肪牛乳、ハーブス(数種類のハーブ)にはバジルを選択。
粉については、ホワイトソースを作る要領で小麦粉を使用。
そして、セロリ6本はさすがに多そうだったので、1人分をイメージして分量を調節しました。

 【築地居留地料理再現シリーズ第2弾】セルリーソース

(※写真の材料と実際の分量は一致しておりません。)


■作り方
セルリー、スープ、ハーブス三十分間煮、セルリーうらごしにかけ、他の品漉し、粉とバタ入れ、程よくなし出すなり。まえにクリームとレモンジュース入れ、熱くして出すなり。このソース、七面鳥、鶏に上等なり。

以上!
現代の丁寧なレシピに慣れていると戸惑ってしまうほど簡単ですが、細かな指示がない分自己流にアレンジしやすかったです^^
本にはできあがりの写真がないのでどのようなソースになるのが正解なのかは分かりませんが、私が作った結果このようになりました。

 【築地居留地料理再現シリーズ第2弾】セルリーソース


今回は家にある調理器具で何とかセロリをつぶしうらごしを試みましたが、案の定大苦戦。
もしこのソースを作ってみたいという方がいらっしゃいましたら、ミキサーの使用をオススメします。
セロリはミネストローネを作る際によく使用していますが、乳製品と合わせたことはありませんでした。
そのため、セロリと牛乳が互いに主張し合って独特な味になってしまわないかという心配はありましたが、味見をしてみたら意外とお互いの良さを引き立てながらもマッチ♪
セロリとレモン汁が効いた夏らしい爽やかさを特長としながらも、ホワイトソースさながらのコクもある新感覚のソースに仕上がりました!

実は同時進行で、作り方の最後にあったオススメに従って鶏むね肉をロースト。
盛りつけはまだまだ改善の余地ありですが、ソースとセロリの葉を添えてできあがり^^

 【築地居留地料理再現シリーズ第2弾】セルリーソース


これと似たようなものが築地居留地でも食べられていたかと思うと、手作り感満載の料理でも楽しんで食べられました。
(※むね肉よりローストチキン用の鶏肉を使用した方が、切り分けやすく、見た目がきれいに仕上がります♪)

余談ですが、ソースを作る際に余ったセロリ風味のスープに、マッシュルーム、蕪、セロリの葉等を入れて野菜ときのこのスープを作りました。
調理過程で発生したものも無駄なく消費できて満足^^
あとは主食のパンを準備するだけだったので、お手軽に一食作ることができました。

当時のセロリ(オランダみつば)事情

今回は築地のお店をご紹介する代わりに、当時(江戸時代~明治時代)のセロリ事情について簡単に取り上げてみたいと思います。

【セロリ伝来~普及まで】(*諸説あり)
16世紀末:朝鮮出兵の際に加藤清正がセロリの中国種を持ち帰る。
江戸時代:オランダ船がセロリの西洋種を長崎へ持ち込み、オランダみつば(三つ葉)と呼ばれる。
明治時代初期:開拓使らがヨーロッパの改良種がもたらす。
明治中期:徐々に国内で外国船向けのセロリの栽培が始まる。
第2次大戦後:一般に普及する。
(参考:株式会社 明治「野菜辞典ーセロリ」

 【築地居留地料理再現シリーズ第2弾】セルリーソース


以上から、当時築地居留地で使用されていたセロリはオランダ船がもたらしたもの、もしくはヨーロッパの改良種だと想定されます。
今回も固形スープの素で代用してしまいましたが、このレシピ本の最初には「良きスープストック」の作り方が掲載されています。
その材料は、牛肉前脛、子牛の肉、脂なきハム、バタ(バター)、玉葱、人参、蕪、オランダ芹(パセリ)、オランダみつば(セロリ)、とうがらし、ハーブス、塩、角砂糖、胡椒、丁子(クローブ)、水。

同書の最後では、「この当時にどうやって手に入れたのだろう・・・・・・と首をかしげる材料が数多く載っている」とまさに私たちも疑問に思うであろうことが代弁されています。
結局どこでどのように入手したのかは明らかにならないままですが、レモンは柚子で代用したという記録も残っており、やや親近感がわきました。

7月、8月はますます暑くなることが予想されます。
時には築地居留地の料理からヒントを得て、夏バテしないバランスの良い食事を心がけたいものです。