桜やよい

月刊日本橋6月号「大川端の水練場」の特集をご紹介します!
ー向井将監に由来する向井流の江戸から明治にかけてー

39年に渡って日本橋で愛読されている『月刊日本橋』をご存じでしょうか?

私は『月刊日本橋』が配布されているお店に毎月忘れずに立ち寄って、愛読書にしている大ファンの一人です。

三重テラスで6月号を手にして「大川端の水練場」の記事を読み、明治から大正にかけて賑わった大川(隅田川)の水泳の特集から向井将監6代正員(まさかど)開祖向井流をご紹介させていただきます。

月刊日本橋ホームページhttps://www.nihombashi.co.jp/

 月刊日本橋6月号「大川端の水練場」の特集をご紹介します!
ー向井将監に由来する向井流の江戸から明治にかけてー

2021.3「向井将監忠勝の子孫」のブログhttps://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=2102の中で紹介させていただきました。

6代目正員(まさかど)が開祖とされる向井流は、幕府に仕えた御船手奉行に代々伝わった泳法で6代目将員は水泳の名手として知られています。

将監番所は霊岸島八丁堀にあり、その東側に船手組屋敷が置かれ、江戸城を守護する役割を果たしていました。向井流は武芸としての泳法です。幕末に向井流の流れを汲む会津藩士だった笹塚良助・勝用によって受け継がれました。

泳法は「敵前泳法」と言ってつねに前を向いて泳ぐため、速さにおいて劣るようですが、日本橋発祥の泳法です。

明治4年向井流の流れを汲む笹沼勝用が隅田川近代水泳場開設

明治27年7月21日「読売新聞」記事-笹沼勝用生徒670人もいて、東京師範学校の生徒も引き受けていました。

明治11年鈴木正家が浜町対岸の安宅河岸に水練場開設

明治34年7月27日「東京朝日新聞」記事-鈴木正宗・伊藤又吉が浜町河岸に水練場開設

 

向井流を泳いだ文人「三宅克己1874~1954」「森義利1898~1992」

向井流を泳いだ文人「三宅克己1874~1954」「森義利1898~1992」 月刊日本橋6月号「大川端の水練場」の特集をご紹介します!
ー向井将監に由来する向井流の江戸から明治にかけてー

『両国水練場の図』「風俗画報」第121号(明治29年8月20日)大川端の水泳場の小屋の図(上右、上左は遠景)と泳ぎ戯れている子供達(中央区立郷土天文館蔵)

 

三宅克己

水彩画家で、徳島県阿波蜂塚家家臣の家で生まれ、6歳の時浜町1丁目の蜂塚家本邸内長屋に住んでいました。

島崎藤村1872~1943より2歳下で、信州小諸で藤村と知り合います。藤村は泰明小学校に通い銀座に住んでいましが、14歳のとき浜町に移転してきて、永田流水泳に親しむようになったようです。『をさなものがたり』での記載に浮いているごみのかたまりや、西瓜の皮、浮いて来る猫の死骸や、それから板などが藤村の泳いでる側をよく流れていったようです。

当時の隅田川はすでに清流とは言えなかった状態でしたが、嬉々として水泳に興じていたとのことです。

向井流の水泳場に通った三宅は『思い出つるまま』での記載に「いつ向こう河岸まで泳げるかと思っていた大川も、楽々と泳ぎ抜くことができた。ある時は品川のお台場まで、遠泳会が催され、私はそれでも両国橋下から永代橋まで泳ぎ切った」という。ある日、家に帰ると、ひどい下痢と吐き気がして漢方医にかかり、治ったものの、隅田川の濁った水をみると腹が痛むような気がしたが、1週間も経つと「また泳ぎたくなった」と言っています。

森義利

日本橋本船町(日本橋室町1丁目)で生涯を日本橋で過ごした、合羽刷版画家

独特の技法で下町の風物、人物を描き、バルセロナ国際版画展に入賞しています。

小学校5.6年生の2年間、両国橋に近い向井流の水練場で、『幻影の東京』で「入り口から入って着物を脱ぎ、小さな石段をおりるとすぐ川の中に入れる仕組みになっている。川にはところどころに船が浮かべてあり、細い丸太で繋がれプールのような囲いがありました。この四角い区域は大川の幅の三分の一ぐらいまで使っていたという。初心者はここで棒につかまり練習し、上達すると囲いから出て本流で泳いだ」

向井流とは違う流派の中央区生まれの文人

永田荷風1879~1959  神伝流

奥村土牛1889~1990 大竹柔道場

芥川龍之介1892~1927 水泳協会墨田区横網ー安田善次郎別邸

木村宗八1893~19587 浜町の水練場

 

月刊日本橋をお勧めしたいポイント!

月刊日本橋を知って日本の心に触れる文化体験型タウン誌として、日本橋界隈のお店で39年(1982昭和57年)間に渡って配布されています。

ちなみに私が月刊日本橋を知ったのは、1992平成4年でした。それから毎号をわくわくの気持ちで手に取り、一気読みをしています。

①魅力的な「浮世絵の表紙」に癒し

②「小川幸治の気ままなスケッチ」も楽しみ

③特集6月「大川端の水練場」7月「日本橋のランチ」

④「おうちの日本橋のかわらばん」は食からアートまで、ご自宅で楽しめる日本橋の銘品情報満載

⑤「読み物ジャンル」が充実して読み応えあり

⑥「ルポ」明治の日本橋区 百年前の事件簿も明治の新聞記事から抜粋した出来事に魅了

⑦ハンドバックに入る江戸っ子好みな小ぶりなサイズ

⑧「こちら編集部」のコメントに癒しをいただき、月刊日本橋を心を込めて作成してくださっている熱意に感動しています。

 

 

月刊日本橋入手方法

月刊日本橋入手方法 月刊日本橋6月号「大川端の水練場」の特集をご紹介します!
ー向井将監に由来する向井流の江戸から明治にかけてー

月刊日本橋7月とそれ以前の冊子を欲しい方は三重テラスに若干残っていると思います。

(取材時の情報となりますのでご来店の際、直接ご確認ください。)

8月1日からは、8月号も配布されますので、是非ともお立ち寄りください。

緊急警戒宣言下ですが、私も要急の際に8月号を手に入れてきたいと思っています。

(月刊 日本橋編集部より、記事・写真記載の了承をいただいております)