下町トム

初天神にお参りしましょう

 1月はさまざまな「初〇〇」という神事や民俗行事が催されますが、「初天神」も昔からの伝統です。25日が天神様のご縁日ということですので、1月25日が「初天神」です。落語の題材にもなっているとおり、昔から人々の間で親しまれていたようです。また、昨今は受験シーズンとも重なり、学問の神様である天神様にお参りする家族も多く見かけます。

 江戸時代に「伊勢屋、稲荷に犬の糞」という言い草がありました。江戸の町に多いものを並べたものですが、伊勢屋という屋号を掲げる店や町を徘徊する犬が多かったのと同様に、稲荷社があちこちにあるということを表現しています。実際、今でも小さな稲荷社を町なかでよく見かけますね。中央区にもたくさんあります。

 ところが、天神社となると、中央区にはほとんどありません。珍しいその天神様が浜町にありますので、訪ねてきました。『綱敷天神社』といい、『元徳稲荷社』と合祀されて、町内の一角で永く信仰されています。

 初天神にお参りしましょう

 この辺りはかつては肥後熊本藩主・細川候の屋敷だったところで、同敷地内にあった元徳稲荷社が町衆にゆだねられ、そこに近くの綱敷天神社を合祀したということです。
 〔綱敷天神〕の総本社とされる神社は大阪駅の近くにあります。菅原道真公が大宰府へ左遷される際に通りかかった時に、船の艫綱を梅の木に結びつけて御座としたという由緒が残っており、それが「綱敷」の名の由来になっています。
 そう考えると、かつてどなたかが大阪から〔綱敷天神〕を勧請したのかもしれませんが、詳しくは分かりませんでした。もしご存じの方があれば教えてください。

 いずれにしても、中央区では貴重な存在である天神様ですので、「今年こそ一念発起して勉学に打ち込もう」という方は特にお参りしてみてはいかがでしょうか。

 人形町駅からは〔甘酒横丁〕を〔明治座〕のほうへ進み、〔浜町堀〕の跡地である〔浜町緑道〕を曲がって、しばらくして小道に入ったところにあります。この界隈には「七福神めぐり」のコースもあるので、あわせて巡ってみるのもよいかと思います。