【銀座一丁目】遥かな伊万里津の記憶「櫓庵治（ろあじ）」東京銀座店 by いのちゃん

2022.7.28 15:00

【銀座一丁目】遥かな伊万里津の記憶「櫓庵治（ろあじ）」東京銀座店

銀座一丁目駅5番出口直結のビル、PUZZLE GINZA（パズル銀座）7階の櫓庵治（ろあじ）に行ってきました。

櫓庵治は佐賀県伊万里市の創作和食のお店です。佐賀県以外では長崎県佐世保市と、ここ銀座に1軒ずつ支店があります。以前に旅行で訪れた佐賀県を好きになったことと、フロアごとにコンセプトの異なる肉料理のお店が集まるパズル銀座にあることから興味を持ちました。佐賀県の食材をさまざまなスタイルで提供する櫓庵治では伊万里牛のお肉をいただくことができます。

伊万里市ってどんなところ？

陶磁器の伊万里焼で知られる伊万里市は佐賀県の西部、長崎県との県境に位置しています。街のいたるところに美しい伊万里焼のオブジェが飾られていたのが印象に残っています。

伊万里駅

伊万里駅の駅舎は陶器商家の白壁と焼き窯の煙突を模したデザインです。

伊万里色絵婦人立像

伊万里駅通商店街の入口に立つ彩色された色絵（いろえ）の婦人像が目を引きます。「ようこそ伊万里へ」と伊万里牛もお出迎え。

伊萬里津からくり時計「万里音（まりおん）」

佐賀銀行伊万里支店の壁に掛けられたからくり時計はかつてここが伊万里津と呼ばれ、陶磁器の積出港として栄えた時代のにぎわいを今に伝えています。

伊万里津のモザイクタイル

伊万里市の中央部を流れる伊万里川の河畔に伊万里津を描いたモザイクタイルがありました。先ほど見た伊万里駅のモデルとなった白壁の商家が川沿いに建ち並び、伊万里川が陶磁器の輸送路となっているのがわかります。

伊万里色絵楼閣山水文大壷／伊万里色絵菊梅文壺（燭台仕立）

伊万里川に架かる相生橋には西洋の暮らしにあわせて装飾を施された調度品のレプリカがあり、伊万里焼がヨーロッパで珍重されていたことを物語っています。橋の欄干には輸出を担ったオランダ船などを描いた陶板がはめ込まれていました。

伊万里色絵鸚鵡像／伊万里色絵酒樽乗人物型注器像

伊万里焼は1600年代半ばにこの地から長崎を経由してヨーロッパへと盛んに輸出されていきました。「IMARI（イマリ）」と呼ばれ、今でも世界中のファンに親しまれています。

ツヴィンガー宮殿（ドレスデン）
Photo by Ingersoll / Creative Commons CC0 1.0 Universal Public Domain Dedication

以前にドイツのドレスデンで素晴らしい東洋陶磁器のコレクションを鑑賞したことがあります。そのツヴィンガー宮殿を再現した有田ポーセリンパークのある有田市とあわせて、いつの日か伊万里市を再訪したいと思っています。

東京銀座の伊万里「櫓庵治」へ

櫓庵治東京銀座店に来ました。店内は落ち着いた雰囲気です。

銀座柳通りに面した個室には伊万里焼のペンダントライトがあるそうです。インテリアもメニューも和洋折衷という言葉がぴったりの櫓庵治には、鎖国時代にあって伊万里焼を通じて西洋世界と交流していた伊万里の感性が息づいているようでした。

上段左：パプリカのクリームスープ／上段右：櫓庵治特製茶碗蒸し／下段左：ひじきとじゃがいものサラダ／下段右：ノンアルコールカクテル

伊万里牛ステーキ

最上級の黒毛和牛である佐賀牛のなかで、佐賀県伊万里市で生産されているものを伊万里牛といいます。伊万里津から積み出される有田焼が伊万里焼と呼ばれたことに似ていると思いました。伊万里が持つブランドの魅力を実感します。

ここでおかわりができる銀シャリと味噌汁が供されました。ごはんは佐賀県産のブランド米です。お味噌汁は九州地方でおなじみの麦味噌のものでした。麦味噌を使うと甘めの仕上がりになります。ごはんやお味噌汁が地の物だと、本当にその地を訪れているような気持ちになりますね。

キャラメルのムース

時間に限りのある旅行では地元のレストランを訪ねることが叶わないこともままあります。そんなときは全国の名店が支店を構える中央区でその思いを遂げることができます。東京で伊万里牛を味わえるお店は多くはありませんが、今回も旅の記憶をたどりながら銀座で伊万里の食に出会えたことがうれしく、とても満足しました。

この日、ほかのテーブルでは月替わりの料理を楽しめる味覚膳を囲んでいる人たちがいました。お好みにあわせて伊万里牛のステーキやハンバーグを追加でオーダーできます。次回は海の幸や味覚膳もためしてみたいです。