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2022 不足の美を愛でる「十三夜」

 2022 不足の美を愛でる「十三夜」

 10月8日は旧暦の9月13日に該当する「十三夜」。       別名「栗名月」「豆名月」とも称されます。         「十五夜」を「前の月」、「十三夜」を「後の月」、二つの月を合わせて「二夜の月」と呼び、一方の月見を欠かすと「片見月(片月見)」と言い、忌み嫌ったとされます。           「十三夜」は月齢としては満月の一歩手前(10日が満月)。少しだけ欠けた形状の月を愛でるのも、不足の美、不完全なものに趣きを見出す日本的感性の一例とされます。             日本橋川が隅田川に注ぐ河口に架橋された豊海橋。シンプルなデザインの中に古い鋲止形式を残し、重量感のある鋼製「フィーレンディール橋」ですが、2019年に補修・改良工事を終え、背後の永代橋共々、夜間は装い新たにライトアップされ、構造骨組の白と欄干の青のコントラストが映えます。                                生憎雲に覆われ気味ですが、この時間帯は骨太な格子状部材の間から "名月" が顔をのぞかせています。永井荷風は『断腸亭日乗』で、「豊海橋鉄骨の間より斜に永代橋と佐賀町辺の燈火を見渡す景色、今宵は明月の光を得て白昼に見るよりも稍画趣あり。満々たる暮潮は月光をあびてきらきら輝き、橋下の石垣または繋がれたる運送船の舷を打つ水の音亦趣あり。」と記しています。