Art Gallery in Shop@Ginza 「資生堂ギャラリー」
赤レンガ色の外壁が印象的な東京銀座資生堂ビルは2000年12月竣工(開館は2001年3月)。「地区計画銀座ルール(建物の高さ制限を31mから56mに緩和)」適用第1号のビルで、地上階に「資生堂パーラー」、地下1階に「資生堂ギャラリー」があります。
今回は、展覧会「第八次椿会」の開催中(会期:2022年8月27日~12月18日)に株式会社資生堂アート&ヘリテージマネジメント部新価値創造グループの豊田佳子さんと井上香苗さんを訪ね、本ブログ記事のための取材をさせていただきました。
現存する日本で最古の画廊「資生堂ギャラリー」
「資生堂ギャラリー」は1919年にオープン。株式会社資生堂の初代社長・福原信三(創業者・福原有信の三男)が、竹川町11番地(現在の銀座7−8−10)の化粧品部のビル2階に陳列場を開設したのが始まりで、現存する日本で最古の画廊といわれています。
福原信三は米コロンビア大学卒業後に滞在していたパリで、藤田嗣治をはじめとする日本人画家・彫刻家と親交を持ち、将来性のある作家に作品を発表する場を日本で提供したいという思いを強くしたようです。福原信三自身も中学時代は画家を志し、会社経営の傍ら写真家として、日本における写真芸術の確立をめざして活動しています。
1928年には、地下1階・地上3階建(一部4階建)の化粧品部の新しいビルが竣工。2階に本格的なギャラリースペースが設けられ、「資生堂ギャラリー」と名付けられました。
戦後の「資生堂ギャラリー」は「椿会」から始まった
「椿会」は、太平洋戦争のため1944年12月から中断していた「資生堂ギャラリー」の活動を1947年に再開するにあたり誕生したグループ展です。「第一次椿会」は、藤田嗣治をはじめ、横山大観、杉山寧、梅原龍三郎、安井曾太郎など、そうそうたるメンバーで構成されていました。
1974年、「資生堂ギャラリー」は資生堂パーラービル9階に移転。1990年代に入り、「新しい美の発見と創造」という活動理念を再確認し、同時代を生きるアーティストによる現代美術を紹介してきました。
2001年には資生堂パーラービルを建て替えた、現在の東京銀座資生堂ビル地下1階にリニューアルオープン。地下1階とはいっても、地下2フロア分の5m以上の天井高を持つ銀座地区で最大級のギャラリースペースです。
「shiseido art egg」は「資生堂ギャラリー」の原点
現在は中堅作家によるグループ展として活動している「椿会」に対して、新進作家のための公募展「shiseido art egg」が2006年から始まりました。将来性のある作家に作品を発表する場を日本で提供したいという福原信三の思いを継承した、「資生堂ギャラリー」の原点ともいえる展覧会だと思います。
来年開催される「第16回shiseido art egg」のスケジュールは以下の通りです。いまから楽しみにしています。
岡ともみ展 2023年1月24日(火)~2月26日(日)
YU SORA展 2023年3月 7日(火)~4月 9日(日)
佐藤壮馬展 2023年4月18日(火)~5月21日(日)
資生堂ギャラリー
住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
電話:03-3572-3901
URL:https://gallery.shiseido.com/jp/