桜やよい

萬治2年から360年継承する宗家花火鍵屋15代天野明子さん
4年ぶりの2023花火への思い

https://www.suntory.co.jp/beer/kinmugi/hanabi/magazine/history/参照

1659万治2年江戸で花火が流行っていることを聞きつけ、大和国現在の奈良県の弥兵衛が江戸に出て日本橋横山町に花火製造業『鍵屋』を創業し、1711宝永7年日本で初めて打ち上げ花火を打ち上げました。

1732年享保17年の飢饉・疫病で90万人以上もの人が亡くなりました。1773安永2年第8代徳川吉宗はそのことを憂い、慰霊と悪霊退散を祈って隅田川で水上祭を行う際に20発の打ち上げ花火をしたことが隅田川花火大会の始まりです。

1810年文化7年鍵屋7代目の花火師頭清七が市兵衛と名乗り暖簾分けして『玉屋』(両国広小路吉川町・現東日本橋2丁目)を創業。幕府公認花火師となりました。おもちゃ花火を開発した『鍵屋』その技術のクオリティを追求した『玉屋』が二大看板となり互いに技を競い合うようになりました。花火大会の際に「か~ぎ~や~」「た~ま~や~」と観客たちがこの技術を讃える掛け声がかかるようになりました。

『玉屋』は1843天保14年玉屋から出火、1500坪を焼き、火事は大罪の上、将軍家慶が日光東照宮参拝出立前夜に当たり、廃業・財産没収及び江戸払いの厳しい処分が下されました。しかし、現在『鍵屋』は『宗家花火鍵屋』江戸川区『玉屋』は『株式会社元祖玉屋』八千代市に花火製造業として共に健在です。

《「水と生きるサントリー」・ウィキペディア参照》

 萬治2年から360年継承する宗家花火鍵屋15代天野明子さん
4年ぶりの2023花火への思い

宗家花火鍵屋 江戸川区東小松川1-28-21

工場 山梨県市川三郷町「齊木煙火本店」

広報2023.7/15号no.2032 参照

名所江戸百景 両国花火 広重 安政5年

名所江戸百景 両国花火 広重 安政5年 萬治2年から360年継承する宗家花火鍵屋15代天野明子さん
4年ぶりの2023花火への思い

国会図書館デジタル 浮世絵

360年続く家を継ぐことは相当の覚悟があったことと推察します。宗家花火鍵屋14代の三姉妹の次女として2000平成12年15代目を継承。女性としては初めての宗家誕生。

『人の3倍以上働く・人に認めてもらうためには弱音は吐かない』との信念をもち、『信頼を得るために仕事をしていけば、お金は後からついてくる』という家伝を引き継ぎ、感謝の気持ちを忘れない信念をお持ちの15代目。

30歳を過ぎてから、日本大学芸術学部大学院・博士課程で博士論文「打ち上げ花火の『印象』」ー学問として花火を芸術としてとらえて研究なさった努力家でもあります。

「火の神が宿る場所だから、女性が直接火薬に触れる星掛けや玉込めに就くなんてとんでもない!」まだ15代目がこの世界に入った30年前はこのような時代でした。

かっての女人禁制の世界でしたが性別問わず、現在は尊重の時代に入って、職人100人のうち7~8人が女性です。働く環境も少しずつ整えられ、互いに認め合うことができるようになりつつあるようです。

江戸自慢三十六興 両国花火 歌重・豊国 元治元年

江戸自慢三十六興 両国花火 歌重・豊国 元治元年 萬治2年から360年継承する宗家花火鍵屋15代天野明子さん
4年ぶりの2023花火への思い

国立国会図書館デジタル 浮世絵

15代目が主にやっていらっしゃるのは、花火が打ち上がるークライマックスまでをいかに効果的に花火大会が盛り上がっていくかのプロデュースだそうです。「リズムと間の取り方、音楽と連動した演出をする中で、花火の放つ《音》は重要な要素」として大切になさっているとのこと。

昔の花火師は、花火の製造から打ち上げまでをやっていました。現在は、分業になっているようです。

両国花火之図 豊国

両国花火之図 豊国 萬治2年から360年継承する宗家花火鍵屋15代天野明子さん
4年ぶりの2023花火への思い

国立国会図書館デジタル 浮世絵

花火は「色・形・光・音」に特色があり、大会ごとのイメージに合わせて構成

例えば「桜ふぶき」は桜が咲いてから散るまでの情景を絵コンテに描いてから玉名を決め、

それから色を指名して咲き始めの薄いピンクはA工場・満開の濃いピンクはB工場と工場の特性を生かした発注

花火を打ち上げたときに、見ている観客にストーリーや情景が伝わるように演出するそうです。

「雷」がテーマで穏やかなときから雨が降り始め、雷が「ドーン!」となって、その後に虹が出てくるというような…。

明治の花火

明治の花火 萬治2年から360年継承する宗家花火鍵屋15代天野明子さん
4年ぶりの2023花火への思い

15代目は、花火師として花火大会のテーマに合ったストーリー性を考えて絵コンテを先にイメージして、その色にあった火薬玉を作り優雅さを表現しつつ、4年ぶりの江戸川区花火大会8/5(土)で演出・総指揮をされ、成功されました。

日本中の花火師の方々がコロナ禍の中で、花火大会開催が中止されている間も花火大会構成・演出をイメージを膨らませて精進なさっていらしたことでしょう。

令和5年、4年ぶりの7/29(土)の隅田川花火大会も106万人たちが花火を楽しみました。

毎年、日本中の人々が夏の花火大会を心待ちにして、日々を安全に愉しく暮らせることを願ってやみません。