『銀座』はどこまで?
銀座を一周してみましょう! ⑬
~ 新富橋・鈴木ビル・三吉橋・築地川亀井橋公園 ~
リモートで、愛する中央区をナビゲートします、rosemary sea です。
「『銀座』はどこまで? 銀座を一周してみましょう!」シリーズ、第13回です。
今回は「新富橋」、「鈴木ビル」、「三吉橋」、「築地川亀井橋公園」をご紹介します。
また、「新富復興稲荷社」、「大野屋總本店店舗」「銀座ブロッサム(中央会館)」につきましても触れてみたいと思います。
新富橋(しんとみばし)
少し銀座から飛び出しています。
上の画像は、新富町側から銀座方向を撮っています。
画像の右方向に、前回ご紹介しました新金橋があり、左方向に次のご紹介・三吉橋があります。
左側、前後に延びた道路の先に、わずかに見える橋、新富橋です。
その奥が銀座1丁目・2丁目です。前回ご紹介しました京橋公園が道路の右側にあります。
なお、中央やや右の祠(ほこら)、これは新富町側になりますが、「新富復興稲荷社」です。
冒頭画像をご覧いただきますと、どのような祠かお判りいただけます。
新富復興稲荷社につきましては、2020年12月22日の記事「人形町駅から行ける、静かな佇まいの神社 NO.30 ~新富復興稲荷社~」をご覧ください。
大野屋總本店店舗
新富復興稲荷社の交差点の向かいの角には「大野屋總本店店舗」があります。
新富2-6-3です。
ー 大正時代に建てられた町屋建築の姿を残す ー
安永年間創業の老舗足袋店で、1階は店舗、2階は足袋の製造を行っている。
角地に建つ現在の建物は関東大震災直後に建てられた、この地でも数少ない戦前の町屋建築の構え。
木造2階建で、1階2階とも軒が高く造られており、2階は出桁造(でげたづくり)になっている。
切妻造桟(さん・えつり)瓦葺の重厚屋根と、簓子(ささらこ)下見板張の外壁が特徴。
~ 歩いてわかる 中央区ものしり百科 より ~
なお、大野屋總本店店舗は、建造物として国登録有形文化財となっております。
鈴木ビル
銀座1ー28-15、鈴木ビルです。東京都選定歴史的建造物に指定されています。
ー バラエティ豊かな貸席建築 ー
昭和4年(1929年)に建てられたこのビルは、公演・稽古場として貸し出せるように広い舞台がある貸席建築となっていた。
外観は馬蹄型の窓や丸窓、縦に並んだ出窓などバラエティに富んでいる。
1階入口周りの幾何学的レリーフなども特徴的。
~ 歩いてわかる 中央区ものしり百科 より ~
(このビルには東京都の説明板が掲げられており、以下のように書いてあります。)
鈴木ビル
かつて甲子(きのえね)屋倶楽部と呼ばれ、公演や稽古事等に部屋を貸し出していた建物である。
2階に芝居等の公演ができる広い舞台があり、3階は住居、その他は予備室や貸室となっていた。
4つの馬蹄形の窓を持つ銅板葺きの屋根、デザインを変えた3種類の窓、1階円柱にほどこされた幾何学的レリーフ、内部の壁に用いられている布目タイルなどに特徴がある。
三吉橋(みよしばし)
新富橋の隣りの橋、三吉橋です。
中央区役所が橋の向こう、右側に見えますね。
三吉橋はY字型の、珍しい橋です。
この橋は築地川の屈曲した地点に、楓川(もみじがわ)と結ぶ水路(楓川・築地川連絡運河)が開削され、川が三叉(さんさ)の形となった所に、関東大震災後復興計画の一環として、昭和4年12月に三叉の橋が架けられました。
ここに川が存在し、人々の暮らしも川を中心に営まれ、川筋を酒荷の船などが通った情緒ある風景も、今は埋立てられ高速道路と化し、陸橋となりました。
区では、平成4・5年にわたり、高欄には水辺に映える木立ちの姿を採り入れ、照明は架設した当時の鈴蘭燈に、又一時期高速道路のランプとなり一部撤去された歩道も復元し、古き風情を感じさせるデザインで修景しました。
四人は東銀座の1丁目と2丁目の堺のところで、昭和通りを右に曲った。ビル街に、街燈のあかりだけが、規則正しく水を撒いたように降っている。月光はその細い通りでは、ビルの影に覆われている。
程なく四人の渡るべき最初の橋、三吉橋がゆくてにたかまって見えた。それは三叉の川筋に架せられた珍しい三叉の橋で、向う岸の角には中央区役所の陰気なビルがうずくまり、時計台の時計の文字板がしらじらと冴えて、とんちんかんな時刻をさし示している。鈴蘭燈のひとつひとつが四つの燈火を吊しているのに、その凡てが灯っているわけではない。月に照らされて灯って灯っていない灯の丸い磨硝子の覆いが、まっ白に見える。そして灯のまわりには、あまたの羽虫が音もなく群がっている。
川水は月のためにかきみだされている。
ー 三島由紀夫「橋づくし」より ー
三島由紀夫「橋づくし」につきまして
「橋づくし」は三島由紀夫の短編小説です。銀座・築地が舞台です。
昭和31年(1956年)に発表され、2年後の昭和33年(1958年)に刊行されました。東京タワーができた年ですね。
この小説は「願掛け」にまつわるお話です。
それぞれの願いを叶えるため、主人公を含む4人の女性は「7つの橋を渡る」というイベントを実行します。
それには叶えるためのルールがありまして、
◎ 同じ橋を通ってはいけない、つまり一筆書き
◎ 願い事は話してはいけない、事前も橋を渡る間も
◎ ツアー実行中、話しても話しかけられてもいけない
などです。
そして、願掛けツアーの第一の橋、書かれておりますとおり、それがここ、三吉橋なのです。
ちなみに第3の橋は築地橋、第4が入舟橋です。
暁橋、堺橋と続き、最終の7番目の橋は備前橋、築地本願寺の手前です。
ところでこれでは6つの橋、1つ足りませんね。
いえいえ、三吉橋は三叉の橋です、2つの橋を渡ったことになるのです。
お話の筋の進行としましては、主人公と2人、計3人の女性の計画に別に1人の女性が加わり、4人となった次第。
ですから先ほどの文の書き出しは、「四人」となっているのです。
途中、当初の3人のうち主人公を除く2人がリタイヤし、最後の備前橋まで2人が行きつきました。
しかし主人公も最後に脱落、残った縁の薄い1人の願い事とは・・・という作品です。
主人公の願い事「俳優Rと結ばれたい」など、現代にも通ずる先駆け的な秀逸の短編小説です。
そして橋を巡ることが、区役所から生命保険株式会社、病院、お寺と、人の人生をなぞらえているとも言われています。
つまり人生は「一筆書き」、戻ることのできないワンウェイ、と示しています。
なお、「橋づくし」に関しましては、このブログでも過去に多くの特派員さんが触れていらっしゃいますが、その中のひとつは2018年4月30日の Hanes さん『現代版「橋づくし」~橋と時代をこえて~』です。
⇒ https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/archive/2018/04/post-5179.html
銀座ブロッサム(中央会館)
中央区立中央会館・銀座ブロッサムです。
銀座2ー15-6、三吉橋の銀座側のたもとにあります。
施設としては、
◎ 結婚式場
◎ 披露宴会場
◎ ホール
◎ 集会場
◎ レストラン
です。
また、ホールを中心に、映画上映やコンサートなど各種イベントも催されています。
築地川亀井橋公園
亀井橋の脇にある中央区立の公園・築地川亀井橋公園です。
公園の中心にはペレニアルガーデン、いわゆる宿根草の花壇があります。(上の画像の右上、白いオブジェの周辺です。)
約75種類の宿根草が植えられているそうです。
他に桜や藤、つつじなども周りに植栽されていて、四季を通して花が楽しめます。
桜は10本ほど、藤は藤棚になっています。(藤棚は先ほどの白いオブジェの奥に写っています。)
また、足裏マッサージのできる「健康こみち」も設置されています。
※ 当公園の藤の開花につきまして、2018年4月15日にジミニー☆クリケットさんが、記事を書いていらっしゃいます。
「新富橋」「三吉橋」「築地川亀井橋公園」は、右手を上下に走る高速道路(旧・築地川)を上から順に辿ってください。赤丸で表示してあります。
「鈴木ビル」は、新富橋と三吉橋の間の紫色の星印の位置です。新富橋の表示の下です。
「新富復興稲荷社」は、右上の赤い星印のところです。
「大野屋總本店店舗」は、その右下の『足袋の博物館』と書いてある赤丸地点です。
「銀座ブロッサム(中央会館)」は、中央やや右の赤丸で示しました。
上の銀座全図の右上、茶色のラインを進みました。