はじめ

銀座の、天空の、お稲荷様の、神社

前回のブログ記事で紹介させていただきました、銀座白鶴ビルディング屋上のお稲荷様の神社(鐵砲洲稲荷神社から分祀)。人が神様の上を歩くのは失礼とされているため、ビル屋上に神社が鎮座することは珍しくありません。部外者が銀座白鶴ビルディング屋上を自由勝手に訪れることはできませんが、銀座には誰でも気楽に参拝できる天空の稲荷神社もあります。

聖地となった「朝日稲荷神社」

聖地となった「朝日稲荷神社」 銀座の、天空の、お稲荷様の、神社

アニメーション映画『天気の子』(2019年)で主人公・陽菜が晴れ女の力を得た場所は廃ビル(代々木会館)の屋上にある神社として描かれていますが、実際の代々木会館(2020年に解体)の屋上に神社はありませんでした。屋上の神社のモデルになったのは、銀座の大広朝日ビルの屋上にある朝日稲荷神社だといわれています。
朝日稲荷神社は古来より当地に鎮座していたようです。戦後、社殿を再建。1983年、隣地の大広ビルを改築する際に現在の共同ビルが建築されました。本殿は屋上に安置されましたが、誰でもビル内のエレベーターで8階まで上がり、そこから非常階段で屋上に行くことができます。
また、ビル1、2階の吹抜け部分にある拝殿はパイプでつながっており、拝殿での参拝が本殿に届くようになっています。屋上まで行かなくても参拝できる仕組みがユニークです。

1階拝殿(写真左)の参拝時間
7:30~18:00(この時間以外はシャッターが閉まり、参拝できません)
屋上本殿(写真右)の参拝時間
10:00~18:00(8階へのエレベーターが停止している場合、参拝できません)
住所:東京都中央区銀座3-8-12 大広朝日ビル屋上

火防の神様「靍護稲荷神社」

火防の神様「靍護稲荷神社」 銀座の、天空の、お稲荷様の、神社

松坂屋銀座店の跡地を含む銀座6丁目10番・11番街区の再開発事業GINZA SIXのオープン(2017年4月20日)に伴い、その屋上に靍護稲荷神社が遷座されました。東の角に位置しています。もともとは1929年に荒川区東日暮里の靏護稲荷神社(江戸時代に京都の伏見稲荷大社から勧請)を松坂屋銀座店の屋上に分祀したものです。
松坂屋銀座店は関東大震災(1923年)の翌年、銀座復興の先陣を切って、銀座で初めての百貨店として開業しました。靏護稲荷神社は関東大震災と日暮里大火(1925年)から東日暮里町内を守ったとされ、銀座でも火防の御利益が期待されていたと思われます。

住所:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX屋上

三井を守る「三囲神社」

三井を守る「三囲神社」 銀座の、天空の、お稲荷様の、神社

銀座三越と日本橋三越本店(本館)の屋上には、墨田区向島の三囲(みめぐり)神社(三囲稲荷とも呼ばれる)が分祀されています。「囲」が三井の「井」を囲んでいることから、三井家の守護神となったようです。
銀座三越のビル屋上にある三囲神社は、銀座出世地蔵尊の隣に鎮座しています。神道のお稲荷様と仏教の地蔵菩薩が並んでいることころは、まさに「日本」です。
一方、日本橋三越本店のビル屋上にある三囲神社の境内には、高村光雲作の「活動大黒天」が祀られているようです。通常非公開のため、残念ながら私は見たことがありません。日本橋三越本店のHPによると「慈悲深いお顔の表情のうちにも、俵の上に立ち上がり、右足を踏み出して打出の小槌を振り上げ、今まさに福徳を授けようとする活動的な御姿をあらわしています」とのこと。一度拝んでみたいと思っています。

@銀座(写真左)の住所:東京都中央区銀座4-6-16 銀座三越9階銀座テラス
@日本橋(写真右)の住所:東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店(本館)屋上