日本橋茅場町で世界三大ピアノと出会う
少し前のことですが、Mさんという東京藝大作曲科出身の女性から、『茅場町でピアノ買いました~♪』という話を聞きました。
茅場町に楽器店なんてあったかな・・??と思って詳しく聞くと、亀島川沿いで、私もしょっちゅう通っていた道沿いにあるようです。改めて実際に店の前を通って確認してみると、たしかにありました!アート風の入り口にはなっているものの目立つ看板などは無くて、いつも気が付かないまま通り過ぎていましたが、店の中のほうをガラス越しに覗かせてもらうと、かなりの奥行きと広さがあって、所狭しとピアノが並んでいました。
しかも彼女の話によると、ここは普通の楽器店ではなく、「世界三大ピアノ(※)専門店」という、知る人ぞ知る有名店だったようです。その名は「グランドギャラリー東京」。顧客も全国区とのことでした。なるほど、派手な看板などは不要だったわけです。
・・・というわけで?Mさんにお願いして、Mさんの仕事仲間のNさん(彼もまた専門は作曲で、某音大の先生です)と共に、お店を取材させていただきました。
※スタインウェイ&サンズ(ドイツ・アメリカ)、ベーゼンドルファー(オーストリア)、ベヒシュタイン(ドイツ)。
ピアノを愛する人の楽園
Mさんがあらかじめアポを取ってくれていたということもあり、店長でピアノコンシェルジュの榎本研次さん(写真右)がとても丁寧に対応してくださいました。(ちなみに榎本さんはベーゼンドルファーご出身とのこと)
まず驚かされるのは展示されているピアノの多さ!高級ピアノ(中には1千万を超える品も)ばかりが40台近くも並んでおり、その大半はグランドピアノ。しかも単なる展示では無く、「調律済みで試弾可能」なのです!
そんな物凄い環境の中にピアノ好きが放り込まれるとどうなるか?MさんもNさんも終始顔が緩みっぱなし。取材もそこそこに「ちょ、ちょっと弾いてみてもいいですか??」と、いちおう榎本さんに確認を取ってはいましたが、しっかり譜面は持参していました(笑)。
2人とも専門は作曲のはずですが、ピアノの腕も大したもので、ピアノをとっかえひっかえしながら2人が夢中で連弾を続けていると・・・最初は私たちしかいなかった店内でしたが、店の外にほのかに流れ続けるピアノの音色に引き寄せられたのか、次から次へとお客様が!試弾が終わると拍手が起きたことも。
1台1台に物語があるピアノ
ここに並んでいるピアノは新品ではありません。上の写真で2人が真剣な面持ちで弾いているピアノはなんと1888年のベヒシュタインです。もちろんパーツ類は必要に応じて新品に取り換えられていますが、響板などは綺麗に手入れされているとはいえ当時のまま。
ピアノの寿命は人間の寿命よりも長いということに改めて思い至りました。この店は多様な仕入れルートを持っているとのことですが、「(弾き手のほうが)年を取ってもう弾けなくなったので、次の世代の人たちに譲りたい」という申し出が仕入れになっていることが多いとのことです。
ピアノに限らずバイオリンなども、完成したばかりの新品よりも『木の水分が適度に抜けた』状態のほうが良い音になるのだそうです。
そういう意味で古い品が好まれることもあるのでしょうが、ピアニストによって丁寧に使い込まれて良い音を出すようになったピアノを引き継ぎ、今度は自分の音に染めて行くという行為そのものが素敵ですし、1台1台がそれぞれに違った物語を引き継いでいると思うと感慨深いものがあります。
ハリーポッターが少年時代に杖(wand)を選ぼうとしたとき、杖のほうが持ち主を選ぶというシーンがありましたが、ピアノの場合もそんな出会いがあるのかもしれませんね(^^)。
お店の紹介
肝心のお店の紹介が最後になってしまいましたが・・・
グランドギャラリー東京は、株式会社グランドギャラリー(本社:愛知県岡崎市)という、世界一のピアノ品揃えを誇る大型ピアノ専門企業の、「世界三大ピアノに特化したショールーム」という位置づけで2014年に誕生しました。(公式サイトはこちら)
本社同様、買取・販売だけでなく最高の技術で「名器の再生」に取り組んでいます。(詳しくはこちら)
「とにかく誰でもいいから来店してください」という店ではありませんが、名器に憧れ、尊敬を抱いている人にとっては理想の店であるのは間違いありません。
住所 | 〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町2-17-7 第三大倉ビル1階 |
電話番号 | 03-6206-2212 |
営業時間 | 10:00~19:00 |
メンテナンス日 | 火曜日・水曜日 ※都合により臨時休業となる場合がございます。 |