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2025 大名庭園に秋の訪れを演出するススキの穂

 2025 大名庭園に秋の訪れを演出するススキの穂

 ススキはイネ科ススキ属の多年草で、"茅(萱)" と総称され屋根を葺く材料に利用される有用植物の一つで、山野に広く分布します。ススキの語源は、①ススはスクスクと生い立つ意、キは草の意、 ②スは細い意、叢生する故ススと重ね、キは草の意、➂ススは笹(ササ)に通じ細い意、キは草の意など諸説あるようです。         花穂が動物の尾に似ることから尾花とも呼ばれ、秋の七草の一つに数えられ、特徴的な形状と色味から秋の風物詩として広く愛され、古くは万葉集に詠まれ、源氏物語や枕草子にも登場し、花鳥風月画や蒔絵などの秋草紋様に描かれ、屋根材の他、飼料、堆肥、ススキミミズクなどの郷土玩具、炭俵、草履、箒等にも利用され、日本人の生活に深く馴染み、かつては集落の傍らに採取場の「茅場」を備え、人の手で大切に維持管理されてきたとされます。       花穂は当初赤味を帯び、頴果(エイカ)には白毛が生え、次第にふわふわと白銀色から黄金色に輝きます。  月見シーズンには、秋の収穫の感謝を込め、芋や豆などの収穫物と共に、穂の出たススキを、この時期にはまだ刈り取り前の稲穂に見立て、花瓶に生けて供えられます。                 茎が中空のため、古来、神様の宿り場 "依り代" と信じられ、また、鋭利な葉と鋭い切り口は、魔除け効力があるとされ、そのため、月見に供えるススキには、悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味も込められていると聞きます。                            浜離宮恩賜庭園潮入の池(大泉水)の畔に生育しているススキの穂が風に靡き、初秋の景観を演出し、風情を醸し出しています。