クスノキのお話
先日、日本橋の映画館で東野圭吾原作のアニメーション映画「クスノキの番人」を観ました。その多くが映像化されてきた東野作品ですが、アニメ化は本作が初めてということで、気になっていたのです。上映時間を2時間以内に収めるために原作の一部を簡略化したり、アニメ的な愛くるしいフクロウを登場させたりといった手は加えられていましたが、原作に敬意を持って概ね忠実につくられた秀作だと思います。個人的には、映像化されたクスノキの存在感が特に印象的でした。
作中の月郷神社にあるクスノキは高さ10メートル以上、幹の直径5メートルで、超自然的な力を持っている設定ですが、実際のクスノキも負けてはいません。常緑広葉樹であるクスノキは日本で最も大きくなる木のひとつで、高さ40メートル、幹の直径8メートルという記録もあるそうです。また、クスノキの幹や根、枝、葉を水蒸気蒸留すれば、樟脳(カンフル)を主成分とする精油を得ることができます。樟脳は衣類の防虫剤として使われるほか、セルロイドや無煙火薬の原料、香料、医薬品(いわゆる「カンフル剤」など)に利用されてきました。
「クスノキの番人」を観賞した後、映画館の近くの福徳神社に立ち寄りました。道を挟んだ鳥居の向かい側に大きなクスノキ1本が植えられています。その前に設置された説明板によると、樹齢100年とも推定され、長崎街道の北九州・黒崎宿の街道脇に2本並んでいたものが、2014年の福徳神社再建の際に移植されたとのこと。樹齢1000年を超えるものもあるクスノキ。この日本橋で、長く、静かに、人の営みを見守ってくれそうです。
※福徳神社の境内には、鳥居の向かい側のクスノキ(写真内の左側)以外に、もう1本のクスノキ(写真内の右側)が鳥居の横に植えられています。ただ、このクスノキはまだ若々しく、樹齢100年には見えないので、黒崎宿の街道脇から移植されたものではないように思います。
日本橋室町野村ビル 「くすの木のはなし」
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