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2025 無縁仏の回向 都指定無形民俗文化財「佃島の盆踊」

 2025 無縁仏の回向 都指定無形民俗文化財「佃島の盆踊」

 9月22·23の両日、佃1丁目の佃小橋横、森稲荷神社前の佃公園に組まれた櫓の周りで、佃島盆踊保存会主催の「佃島の盆踊」が開催されました。(18:00~ お経上げ 18:30~21:00 盆踊り)      会の資料に拠れば、明暦3年の大火で横山町付近にあった本願寺別院(江戸浅草御坊)が焼失した際、門徒であった佃島の住民一統が、移転先として幕府から下付された葭生地であった現在地の埋立て造成工事に尽力し、本願寺築地別院御堂(築地御坊)が完成した延宝8年の盂蘭盆会に、信仰に厚い漁民は祖先の霊を祀る盆踊りを行い、これが佃島の盆踊のはじまりと伝えられ、古くは江戸市中を廻り志を受け、本願寺に奉納していましたが、天保2年、町奉行遠山左ヱ門尉の改革により市中廻りを禁じられ、佃島の中だけで踊るようになり、今日まで伝承されてきたとされます。              昭和51年、江戸の名残を留める貴重な都内の郷土芸能として、東京都教育委員会より無形民俗文化財(民俗芸能)に指定されています。                                 佃島の盆踊は、単調な太鼓のリズムと哀調を帯びた口説き唄に合わせ、櫓の周りを左回りに行きつ戻りつ「コラ、ヤートセー、ヨーイヤナ、コラショイ」と囃子詞を繰り返す、ゆったりとした調子の、祖霊、精霊を慰める供養のための静かな踊りが特徴で、哀愁と無常感が漂ってきます。         往時隅田川上流で災害があった際、流れの分岐点の佃島に被災者が漂着したとされます。       会場片隅には、水難者の霊を供養するものとされる「無縁仏(精霊棚)」が設えられ、棚の中には「無縁仏」と記された掛け軸がかけられ、南瓜や胡瓜といった野菜が供えられています。          盆踊りに先立って「お経上げ」が執り行われます。                        古き時代の民間信仰の無縁仏の供養と鎮魂の精神が色濃く残る趣深い伝統行事です。