人形町界隈の「布のお店」シリーズ、今回は「手ぬぐい」
~ 戸田屋商店 ~
『ギフト、そして自分も楽しむ』をセンシティブに取材します、rosemary sea です。
3月17日掲載のハンカチーフ専門店・CLASSICS the Small Luxury(クラシクス・ザ・スモールラグジュアリ)さん、3月19日掲載の風呂敷専門店・唐草屋さんに続き、今回も人形町界隈の「布のお店」をご紹介します。
今回は手ぬぐい、今年で創業148年の日本橋堀留町・戸田屋商店さんです。
戸田屋商店さんは・・・
梨園染ゆかた、手ぬぐい、のれん、半纏(はんてん)、江戸型紙、その他製造加工卸問屋です。
また、卸問屋ではありますが、ご来店いただいた方には小売も行っています。
こちらへ来店される方、手ぬぐいが好きな方、全国からいらっしゃるそうです。
148年、ずっと日本橋で営業されています。
卸では全国の百貨店、小売店、美術館、歌舞伎座等劇場売店、日本舞踊各流派などにお取引があります。
ロズマリの記事で登場します榛原(はいばら)さんやGINZA HAKKO 木の香さんとも関わりがございます。
1872年(明治5年)、初代小林大助さん、江戸末期に木綿太物問屋で修行後、日本橋富沢町木綿金巾問屋を開業。
1902年(明治35年)、二代小林大助さん、潮染(うしおぞめ)ゆかたなどを発売。
1909年(明治42年)、三代小林寅吉さん、「てきなし染」のゆかたを発売。
1933年(昭和8年)、代表登録商標名を「梨園染」に改める。
1951年(昭和26年)、家庭用のれんを発売、これが「日本初」と云われています。
1997年(平成9年)、六代小林賢滋さん、代表取締役に就任。
2017年(平成25年)、伊場仙(いばせん)さん・榛原さん・戸田屋商店さんで初の日本橋コラボレーション商品発売。
2018年(平成30年)、この年2回にわたり「GINZA HAKKO 木の香」さんにて企画展開催。
現在に至ります。
金巾(かなきん)とは・・・
平織綿織物の一種で、綿100%。
幟(のぼり)、のれん、旗などに用いられます。
薄手の綿生地なので、和風の風合いがあります。
注染(ちゅうせん)とは・・・
梨園染の特徴ともいえる注染。
伝統工芸に指定された染色方法であり、裏表なく染めることができます。
色合いの美しさ、風合いの良さは、熟練の職人さんたちによる手染めだからこそです。
梨園染(りえんぞめ)とは・・・
手ぬぐいとゆかたの製造卸であります株式会社戸田屋商店さんのメインブランド。
独自にオリジナル生地を使用しており、手ぬぐいやゆかたの晒木綿(さらしもめん)の上質さにもこだわっておられます。
そしてデザインコンセプトは、「伝統の柄を斬新な色合いで・斬新なモチーフを伝統の技術で」。
歴史あるものを忠実に再現する回顧主義ではなく、伝統のデザインに新しい息吹をプラスし、その時代に合わせて姿を変える。・・・
このような進化が、独自のデザインを生む、とのこと。
また、他には真似のできない圧倒的な柄のバリエーションも、梨園染のストロングポイントです。
伝統文化を守りつつ新しいものを作る、梨園すなわち歌舞伎好みのお品をお届されています。
厳選された素材と職人の技に基づいた品質と、生活の中の粋をお楽しみ下さい。
株式会社戸田屋商店 営業部 小林拓也(こばやし たくや)さんにお世話になりました。
戸田屋商店現社長 小林賢滋社長のご子息で、戸田屋商店さんの7代目にあたる方です。
それでは戸田屋商店さんの扱っておられるお品を順にご紹介してまいります。
『』内は小林さんのコメントです。
今回は広く浅く、最初は「手ぬぐい」です。
なお、冒頭の画像は「四季の手ぬぐい 菖蒲(あやめ)」です。
左:歌川広重画写 名所百景 亀戸天神境内
右:藤娘
手ぬぐい、人気の柄。
『飾っているのは季節の手ぬぐいです。歌舞伎好みの柄です。
藤娘は外国人の方にも人気があります。
元々この辺りは歌舞伎小屋がありましたし、歌舞伎役者さんがひいきにしてくださって、「梨園染」の「梨園」という名前は、歌舞伎の方から「使っていいよ」というふうなことをいただいたのでブランド名として使っています。』
『これも全部、職人さんの手染めです。
染工場(せんこうじょう)自体はうちの方で持っているわけではなくて、昔ながらの分業制です。
都内に染め職人さんの集団がありまして、うちはデザインしたり、そうですね、商社みたいなものですね。』
左:四季 鍾馗様(しょうきさま)
右:蒸気機関車(新緑)
5月の節句に合わせた手ぬぐい飾り。
蒸気機関車の「1872」は戸田屋さんの創業年。
このように掛け軸として、また、テーブルのセンタークロスとしても利用できるそうです。
『こちらも季節の手ぬぐいのディスプレイです。
特注の手ぬぐい用の額もこちらで扱っており、このように飾って楽しめます。
蒸気機関車につきましては別のカラーバリエーションもありまして、こちらは新緑のものですけれど、同じ版で色を変えた、つまり緑の染料を注いでいるところにオレンジの染料を注いだ「紅葉」バージョンもあります。』
『「注染」という技術ですが、簡単に言いますと、型紙がありまして、そこに布を敷いて家から防染糊を塗布してから染料を注いで染めるんですね。
注ぐ染料を変えるだけで別の色合いができる、といったかたちです。
注染という技術が東京都の伝統工芸品として認められています。』
『商品数は常に500~600はあると思います。』
『手ぬぐいの価格のボリュームゾーンとしましては1,000円から1,200円くらいです。
手作業ではありますが、木綿ですし、一度に20枚、30枚が一気に染められるものなので。
量産ができるからコストも抑えられています。
安いものですと800円、高いのは5,000円のものもございます。』
『裏表がないというのは注染の特徴ですが、もちろん文字は反対になってしまいます。
江戸時代、銭湯に手ぬぐいを持って行く時、裏が染まっていないと粋じゃない、と。
当時はまだ注染の技術がありませんでしたので、裏表を染め上げなければならなかった。
明治以降に注染の技術が入って、庶民の手に届いて、男性向けに人気が出ました。』
招布(まねぎ)
“まねぎ”と言うんですね、初めて知りました。
お部屋に、お店に、幸せを呼びます。
とても楽しいお品です。
この手前にも招布がありまして、とてもセクシーな1枚でした。
前は「節電中」と描かれたものが人気でしたようです。
家庭用のれん
『昭和26年当時は団地がたくさん建って、間仕切りとか、食器棚を隠すためとか、玄関を開けて家の奥まで見えないようにとか、そんな人たちのためにのれんをうちが提案した、とされています。』
ふすまの一部として
手ぬぐいも、本当にいろいろな使い方ができますね。
『表具屋さんに頼んで作ってもらいましたが、これもうちの手ぬぐいです。』
日本橋コラボレーションの商品
上 うちわと扇子 伊場仙さんとのコラボ
上右 トレシー(クリーニングクロス) 榛原さんとのコラボ
下 戸田屋さんの商品
『皆、うちでデザインしました。』
手ぬぐいマスク
大人用、1枚1,000円。
今一番求められているお品となっています。
※ 品切れの際はご容赦下さい。
・・・小林さん、ありがとうございました。
次回は、まだご紹介していない「ゆかた生地」、それと、まだまだご紹介しきれていない「手ぬぐい」です。
戸田屋商店
日本橋堀留町2-1-11
東京メトロ日比谷線・都営浅草線 人形町駅 A4出口の人形町交差点側でない方を出て左へ約150m左側。
三光稲荷神社の隣りです。
03-3661-9566
営業時間 9:00~17:00(月~金)
※ 現在は10:00~16:00の短縮営業中です。
定休日 土曜・日曜・祝祭日
戸田屋商店さんのホームページはこちら