はじめ

電通本社ビル三代

左から、先々代、先代、当代の電通本社ビル。

それぞれ個性的な電通本社ビル三代を、中央区で鑑賞することができます。

先々代@銀座:機能主義と様式主義が混在

先々代@銀座:機能主義と様式主義が混在 電通本社ビル三代

先々代のひとつ前の電通本社ビル(竣工:1911年)は、1923年の関東大震災で焼失。その跡地で1932年に新社屋の建設が始まり、1933年に完成しました。当時の高さ制限100尺(約31m)いっぱいの地上8階、地下2階建。設計は日証館ビル@日本橋兜町や旧交詢ビル@銀座を手掛けた横河工務所(横河民輔が設立)です。

機能主義的なアメリカスタイルのビルですが、細部に様式主義的な面も。例えば、正面玄関上部に星型の社章(五芒星は人工衛星、歯車は産業を象徴)。その左に吉祥天(もとはインド神話の美と豊穣と幸運を司る女神)、右に広目天(四天王の一員として、西方を守護)のレリーフが飾られています。また、エレベーターホールにあるモザイクタイルの装飾が見事です。

住所:〒104-8171 東京都中央区銀座7-4-17

先代@築地:「築地再開発計画」の夢の跡

先代@築地:「築地再開発計画」の夢の跡 電通本社ビル三代

設計は丹下健三。1967年竣工。2002年に当代の電通本社ビルが完成するまで本社機能が置かれていました。2002年から電通の子会社である広告制作会社電通テックの本社が入居し、2014年9月に転出。その後、近隣の電通グループのビルとともに住友不動産に売却されました。

丹下健三は築地一帯に複数の超高層ビルを建て、それらを空中回廊でつなぐ「築地再開発計画」の構想を持っていました。その構想は結果として本ビル1棟のみに止まりましたが、外壁の左右が切断されたようなデザインに反映されています。また、その思想は本ビルと同じく丹下健三設計で1967年に完成した静岡新聞・静岡放送東京支社ビル@銀座に見ることができます。

住所:〒104-0045 東京都中央区築地1-11

 電通本社ビル三代

左:先代の電通本社ビル@築地

右:静岡新聞・静岡放送東京支社ビル@銀座

当代@汐留:ブーメラン形の底面がユニーク

当代@汐留:ブーメラン形の底面がユニーク 電通本社ビル三代

1999年秋に着工、竣工は2002年11月1日。当代の電通本社ビルは港区の汐留エリアにありますが、中央区の銀座や築地から見ることができます(右上の写真をご覧ください)。

現在、高層ビルが建ち並ぶ汐留エリアは、かつて東京市場駅の隣駅であった汐留貨物駅の跡地で、1997年に国鉄清算事業団が公開入札を実施しました。その土地の一部を電通が落札。大林組が代表設計者となり、オフィス棟はフランス人の建築家ジャン・ヌーヴェル(最近ではルーブル・アブダビを設計)がデザインを担当しました。浜離宮恩賜公園に面した南側を曲面とした、独特のブーメラン形の底面が採用されています。

住所:〒105-7001 東京都港区東新橋1-8-1

現時点(2021年1月)で先代の電通本社ビル@築地の解体、跡地の開発計画はまだ発表されておりません。今しばらくは電通本社ビル三代を楽しめそうです。