滅紫

仁左衛門さんの「熊谷陣屋」-三月大歌舞伎ー歌舞伎座

嬉しい! 仁左衛門さんの「熊谷」がこんなに早くまた観られるとは何とも嬉しい限りです。昨年の南座の顔見せ興行で久しぶりに「熊谷陣屋」が上演され2度観たばかり。でも歌舞伎座で観るのは楽しみもまた一入。

我が子を身代わりとして討たざるを得なかった戦乱故の悲劇で、世の無常さや人生の儚さが胸を打つ義太夫狂言の名作。花道の引っ込みで熊谷が「十六年は一昔。アア、夢だ、夢だ!」という有名な台詞をご存知の方も多いと思います。

「熊谷陣屋」は並木宗輔らの合作による5段物の義太夫狂言「一谷嫩軍記」の3段目で、時々「陣門・組打」が上演されるだけで、殆どがこの「熊谷陣屋」のみ。それだけ名作ということなのでしょう。

 

 仁左衛門さんの「熊谷陣屋」-三月大歌舞伎ー歌舞伎座

中央区にはこの熊谷直実ゆかりの「熊谷稲荷神社」があります。ご由緒によると「熊谷次郎直実が源平合戦の後 鎌倉より今の熊谷市への凱旋の途次 此の地の里人の請はるるままに護持の神札を授けられて尊崇し給うと伝う」とあります。

熊谷稲荷神社のご祭神は宇賀乃御魂神と八幡大神で、ビルの建て替えが終了し2018年に花椿通りの今の場所にご遷座になりました。2019年の「銀座八丁神社巡り」にも新しく加わりました。

銀座7-12-9 

 仁左衛門さんの「熊谷陣屋」-三月大歌舞伎ー歌舞伎座

今月の歌舞伎座では第一部が「猿若江戸の初櫓」。後の中村座となる猿若座の初世が江戸で初めて幕府の許可を得て櫓を上げ、江戸歌舞伎の源流となったのはよく知られていますが、これは歌舞伎の創始者とされる出雲阿国と猿若が登場する華やかな舞踊劇です。お芝居ご覧になってから旧跡を訪ねるのも、その逆もどちらも楽しめます。

碑の中村座の座紋(隅切り銀杏)の下にある「舞鶴紋」は最初の座紋で5代将軍綱吉の息女「鶴姫」の名前を憚り変更したと言われています。また左右の「丸に三つ柏」の紋は京に上った時、猿若の芸を気に入った後西天皇から賜った羽織の紋と言われています。2024年は「江戸歌舞伎誕生400年」になりますね。

三月大歌舞伎 千穐楽は29日です。

一部11時開演「猿若江戸の初櫓」「戻駕色相肩」

二部14時開演「熊谷陣屋」「雪暮夜入谷畦道」

三部18:30開演「楼門五三桐」Aプロ「隅田川」Bプロ「雪」「鐘ヶ岬」

AプロとBプロは上演日が異なりますのでご注意下さい

お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489 10時-17時

                       2021/3/5/第一部・第2部観劇