江戸箒で小ぎれいな暮らし
中央区推奨土産品の一つ「篠柄箒」(しのえぼうき)は白木屋中村傳兵衛商店さんの商品です。持ち手に竹が使われていて、他の部分は編み上げた草で、36cmほどの長さの箒です。この箒で座敷は元よりフローリングの床をササッと、絨毯の中のほこりも掻き出すように小ざっぱり、家具の隅、窓や戸の溝もスイスイ進んできれいにしてくれます。
「江戸箒老舗 白木屋中村傳兵衛商店」の生い立ち
創業は天保元年(1830年)七代目のご主人、中村悟様にお話を伺いました。
江戸時代、京橋は日本橋、新橋と並ぶ幕府直轄の重要な橋でした。格式の高いこの橋は、他の橋と区別するために欄干に「擬宝珠」という飾りがつけられ、この3つの橋の内側のエリアを「擬宝珠内」と呼んで、商いなどで江戸の繁栄を支えていました。
京橋川が流れていた頃、地方から舟で物資を運んで、お店のある辺りは青竹が立ち並ぶ竹河岸でした。安藤(歌川)広重が描いた竹河岸の図は、白木屋傳兵衛の手提げ袋にも使われています。
原材料が豊富で仕入れ易い土地柄、「江戸箒」の製造・販売を始め200年近く、今に至っています。
江戸箒と棕櫚箒ー原材料によって違う箒の種類ー
江戸箒はイネ科の「ホウキモロコシ」という草を編み上げた箒です。(写真の左側)軽くてコシがあり、座敷、フローリング、絨毯などの敷物、オールラウンドに使えます。箒初心者におすすめだそうです。植物性繊維なので静電気が起きにくく、洋服やペットの毛の処理にも。素材は創業当時から変わらず、職人さんの手の感覚で良し悪しを選別されて、質の等級が付けられます。20も等級があるとのことです。デザインはシンプルで粋な江戸っ子好みです。使い込んで先が痛んだらハサミで切りそろえて使い、小さくなったら玄関や外箒として使い、お役御免となったら、BBQの燃料等に。生きているものはごみにならず、自然に帰って行くのですね。
棕櫚箒は木の「棕櫚」の樹皮をまとめて組み合わせた箒です。(写真の右側)棕櫚の木は1,000年も前からあり、植えればどんどん育ち、5m以上にもなる強い木で、丈夫な皮からは良い繊維が取れるため、昔から箒やたわしなどの日用品を作る材料として使われて来ました。モップのような柔らかな使用感で、フローリング向き、床にたまるほこりやごみを静かに掃き寄せることが出来ます。素材の持つ耐久性で、長く使える道具です。
使い心地が良い日用品
台所では棕櫚たわしが活躍です。野菜の凸凹も難なく洗えて、食器や調理道具(ステンレス、ホーロー、鉄鍋)も傷つかずきれいに。水回りに強く、カビたり腐ったりしない実用品です。また、床に落ちた野菜くず、洗面所の髪の毛やほこりは箒と塵取りで手軽に。洋服やテーブル、パソコン周りに使える小箒もあります。
作り続けて、使い続けて次世代へ
私が子どもの頃には、多くの家に畳の部屋があって、箒と掃除機が共存していました。今改めて箒を使ってみると、手軽に静かに身の回りがきれいになることに驚かされます。丁寧な手仕事で作られた道具は電気も使わずに個々の家庭でSDGsを実践しています。江戸時代から変わらない技術には、「環境に負荷のない社会を次世代に!」との白木屋傳兵衛さんの使い手と社会を思う心が込もっています。
中央区京橋3-9-8 白伝ビル
電話 03(3563)1771
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