東京ダンボ

川のなぜなぜ舟めぐり 
シビルエンジニアから聞く川にまつわる話

10月7日に、船に乗りガイドの方から江戸・東京の川について学ぶことができるツアーに参加してきました。

この大人の社会科見学は第9回目となっていましたが、コロナ禍により3年ぶりの開催だそうです。

当日は11月後半の寒さとなり気温は12度程度で、雨も強く降り続く中での見学会となりましたが、船内は屋根とビニールにより囲われ、寒さを感じることなく見学ができました。

 川のなぜなぜ舟めぐり 
シビルエンジニアから聞く川にまつわる話

東京ダンボが参加したルートは、”「親水」ってなんだろう?〜都市の水辺空間が果たす役割を学ぶコース〜”という「コース2」で、日本橋船着場を出発し、隅田川を横切り、江東区内の小名木川を東に進み、途中から北に向きを変え横十間川から北十間川に入り、スカイツリーの脚元となる墨田区のおしなり公園船着場までの1時間30分ほどのツアーでした。

 川のなぜなぜ舟めぐり 
シビルエンジニアから聞く川にまつわる話

このコースでは江東三角地帯という海抜ゼロメートル地帯に向けて進んで行きました。

船内の説明で、この平面図と断面図から分かるように地盤が低いと堤防が高くなりますが、あまりにも高くなりすぎてしまうので、水門や閘門(こうもん)を設けることにより海水面(この場合は東京港)の水位の影響を受けないように管理されていることを教えていただきました。

 川のなぜなぜ舟めぐり 
シビルエンジニアから聞く川にまつわる話

中央区ではAPが3m程度なのに、江東三角地帯では–1m以下となっています。

中央区周辺の隅田川の堤防でも結構な高さがありますが、そのままの高さを保とうとすると10m近い高さが必要になってしまうのでしょうね。

APとは (えーぴー)
高さを示す数値である。Arakawa Peilの略称で、荒川工事基準面という。東京都中央区新川にある霊岸島水位観測所の最低水位をもって定められている。

 

 川のなぜなぜ舟めぐり 
シビルエンジニアから聞く川にまつわる話

途中にある新小名木川水門の前後では、堤防の高さに2m程の差がありました。

 

 川のなぜなぜ舟めぐり 
シビルエンジニアから聞く川にまつわる話

また、さらに東に進むと扇橋閘門がありました。これは水位が異なる河川を通航可能にした”ミニパナマ運河”と言える施設で、2つの水門 (前扉及び後扉)に挟まれた閘室(こうしつ)と呼ばれる水路の水位を人工的に変動させ ることにより、船の通航を可能にするもので、約6分で1m程水位が下がり、さらに東に向かって進んで行きました。

この水位調整は東京都が行っていて、通行料金は取られないそうです。

 川のなぜなぜ舟めぐり 
シビルエンジニアから聞く川にまつわる話

日本橋を出発してスカイツリーまで、景色も楽しめるだけでなく、ミニパナマ運河のアトラクションもありこれはとても楽しいボートツアーになると感じました。

東京都江東治水事務所発行の扇橋閘門パンフレットを参照させていただきました。

 

このツアーのガイドをしてくださったのは(株)建設技術研究所の小貫さんで、河川に関する調査・計画を専門とするキャリア26年の技術者で、とてもわかりやすく説明いただきました。また、船長さんからも船の運航に関わるお話もあり、こちらもとても楽しいものでした。

(株)建設技術研究所は1945年に創立された財団法人建設技術研究所を前身とする日本で最初の建設コンサルタントで、リーディングカンパニーとして長年業界をけん引し、国内市場売上ではトップを争う総合建設コンサルタントです。なかでも河川分野のコンサルタントでは、全国の河川整備を支えてきた実績を活かし、長年にわたり洪水や渇水などに対する防災・減災対策の立案、水環境・水循環の保全や改善など、流域全体の総合的なマネジメントに貢献していられるとのことです。