オフィシャル
Art Gallery in Shop@Ginza
「銀座メゾンエルメス フォーラム」
© Stirling Elmendorf
銀座の街角を照らす提灯（ランタン）のような銀座メゾンエルメスのビル（竣工2001年）。設計は、イタリアを代表する建築家レンゾ・ピアノが手がけました。パリのポンピドゥーセンターや関西国際空港旅客ターミナルビルは彼の作品です。レンゾ・ピアノ自身がデザインしたといわれる約1万3000個のガラスブロックは、イタリアのフィレンツェ郊外にある工場で作られました。それらを積み上げるのではなく上から吊るして取り付けることで、それぞれのガラスブロックのわずかな揺れが大きな地震の揺れを緩和させる仕組みになっています。
「銀座メゾンエルメス フォーラム」は銀座メゾンエルメスのビル8･9階にあり、自然光が注ぎ込むガラスブロックに面した吹き抜けがたいへん印象的です。展示空間自体がレンゾ・ピアノの作品といえるでしょう。1929 年に開館したニューヨーク近代美術館（MoMA）が導入して以来、展示空間の代名詞となっている「ホワイトキューブ（白い立方体）」とは異なるこのユニークな「銀座メゾンエルメス フォーラム」で、アーティストは「今、ここでしかできない実験」に挑むことになります。
フランシス真悟 《Liminal Shifts》 展示風景
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
スザンナ・フリッチャー 《Pulse》 展示風景
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
※上の画像2点は2023年2月23日（木・祝）～6月4日（日）に開催の「インターフェアレンス」展（フランシス真悟、スザンナ・フリッチャー、ブルーノ・ボテラ、宮永愛子）」より。「銀座メゾンエルメス フォーラム」の展示空間ならではの風景だと思います。
ブルーノ・ボテラ 《寄宿》 展示風景
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
※ブルーノ・ボテラさんの作品は、今回の「インターフェアレンス」展の隠れた場所に展示されていました。
宮永愛子 《Voyage》 展示風景
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
※「インターフェアレンス」展の会期中には、宮永愛子さんを席主として花山天文台に接続するオンライン茶会《Voyage》も開催されました。
「フォーラム」 - 私たちの身振りが、私たちをつくり、私たち自身の鏡となる -
「銀座メゾンエルメス フォーラム」は世界4カ所にあるエルメスのアートギャラリーのひとつ（他はフランスのサンルイ・レ・ビッチュ、ベルギーのブリュッセル及び韓国のソウル）で、2001年に銀座メゾンエルメスのビル竣工とともに誕生しました。カバンの中に水彩絵具を携帯し何か思いつくと絵を描いていたともいわれる、5代目会長の故ジャン・ルイ・デュマ・エルメス（1938～2010年）。「アートとは本来、私たちの生活のなかにあり、生活と共に生き続けるもの」という彼の考えが「フォーラム」に受け継がれています。
入場無料で誰にでも開かれた場所として、日々の生活においてアートに出会える機会を提供してきました。現在はエルメス財団（2008年パリにて設立）が運営し、各ギャラリーのキュレーターが独自のプログラムを展開しているそうです。
なお、「フォーラム」の基本姿勢は、コンテンポラリーアートという評価の難しいジャンルにおいて「アーティストと共に創造する」「対話をする」「創造に寄り添う」ことに重きを置いています。展覧会の開催を通じてアーティストの制作活動を支援しますが、コレクションは持ちません。「フォーラム」の存在とその活動に、エルメスの気骨と気品が感じられます。
また、不定期に開催されるギャラリーツアー（開催日時は「銀座メゾンエルメス フォーラム」のHPで要確認）では、「フォーラム」担当者から展覧会の背景や各作品についての解説を聞くことができるそうです。実は私、コンテンポラリーアートにあまり馴染みがないので、一度参加してみようと思っております。
銀座メゾンエルメス フォーラム
住所：東京都中央区銀座5-4-1 銀座メゾンエルメス8･9階
URL：https://www.hermes.com/jp/ja/content/maison-ginza/