「やばいよ やばいよ」は小伝馬町牢獄より!
「すごい」「おいしい」という意味でも使われている『やばい』の語源は何でしょうか?日本橋小伝馬町の牢屋敷から始まったと言われています。ここは「厄場(やば)」と呼ばれていましたから。
投獄されたら山田浅右衛門という世襲の死刑執行人に打ち首にされてしまうかもしれません。某芸人の常套句「やばいよ!やばいよ!」ということになります。小伝馬町の牢獄では多い時で年間2,000人が獄死したと言われています。安政の大獄(1858~1859)で捕らわれた吉田松陰も日本橋小伝馬町の牢獄で命を奪われました。現在は公園になっていて、石碑や弔いの寺「大安楽寺」が建てられています。寺を寄進したのは大倉財閥の大倉喜八郎と安田財閥の安田善次郎です。「やばい」の語源は他にもあります。
「やばい」は江戸時代、盛り場で人気だった射的専門の射的場「矢場」からという説があります。店先に矢場女と称する女性がいて、「ちょいとお兄さん。遊んでいかない!」と袖を引かれる艶っぽい元祖ゲームセンターがありました。矢を射るばかりでなく、店の裏でいろいろのことがあったようです。理性を失うと「やばい やばい」ということがあるのでこれが発端かもしれません。こちらの説が正しいとすれば、語源は小伝馬町ではなく浅草寺や神田明神かもしれません。
「どたんば」の語源は、小伝馬町の牢獄?
罪人の首をはねて処刑した後、すぐ脇にある土を持った「土壇場」の上に胴体を寝かせて、首切り浅右衛門は刀の試し斬りをしたそうです。どたん場まで連れていかれたら最後です。土壇場の起死回生も、ドタキャンもありません。
「くだらない」の語源は新川? 上方からの灘や伏見の酒は「下り酒」ではない江戸近郊の酒は、「くだらない」酒でした。グレードの落ちる安物、取るに足らないつまらないものを「くだらない」と称しました。
これらの他にも、びびる(静岡)、ろれつがまわらない(京都)、金に糸目をつけない(山梨)、濡れ衣を着せられる(福岡)や高嶺の花(インド)圧巻(中国)、金字塔(エジプト)など語源遺産がありますが中央区に関係ないので割愛。
くだらない一席でした。
参考文献:
「地団太は島根で踏め 日本全国語源を巡る旅 全23話」 光文社文庫