【中央区の味】 にんべん・山本海苔店・カンロがコラボレーションしたお菓子が登場!
カンロ株式会社から、2023年10月に新商品が発売されました。
これまでも販売されていた山本海苔店の「海苔のはさみ焼き」シリーズがあのにんべんとタッグを組んだのです。
これは中央区ファンとしては見逃せません。今回はそのコラボレーション商品をご紹介します。
発売から20年を越えるヒット商品
カンロ株式会社(以下、カンロ)は山口県にルーツを持つ大正時代創業の菓子メーカーです。カンロといえば、なんといっても昭和30年(1955)発売のカンロ飴。しょうゆを隠し味に使ったどこか懐かしい風味は昭和生まれなら知らない人はいないのではないでしょうか。そんな長年親しまれる味をつくり出してきたカンロとわれらが中央区の山本海苔店の共同開発商品がこちらです。
有明海産海苔に風味豊かな粒々をはさんで焼き上げた素材菓子。梅味には紀州産南高梅を使用しています。素材のおいしさがそのまま伝わる山本海苔店の「海苔のはさみ焼き」は手軽で上質なおつまみとして平成14年(2002)の発売以来、多くのファンに支持されてきました。
そして昨年、新たににんべんとの3社コラボレーション商品が誕生しました。
このプレミアムな「海苔のはさみ焼き」がはさんでいるのは、本枯鰹節、しいたけ、昆布を使用したにんべんの顆粒だし「金色の鰹だし」。ご覧ください。パッケージも金色です。イラストは葛飾北斎の「冨嶽三十六景 江戸日本橋」。
カンロのホームページで確認できる11グラム入りの大きなパッケージのほうには「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が採用されていました。今年発行される新千円札(国立印刷局ホームページ)とおそろいですね。
この中に「金色の鰹だし」が。
山本海苔店の有明海産海苔はとてもよい香りがします。そこへにんべんの深みのあるだしのうま味が加わって、このひと口の中に小さな磯が広がり、かつての日本橋魚河岸のにぎわいの記憶までもが凝縮されているようです。ちょっと大袈裟かもしれませんが、浮世絵を用いたパッケージからは、まさにこうしたことを語りかけられている気がするのです。
日本の味が恋しくなる海外旅行のお供に持って行くのもおすすめです。おみやげにしたら、海外の方が“UMAMI(うま味)”や“WASHOKU(和食)”にふれるきっかけにもなりますね。
にんべんについて
にんべんの創業は元禄12年(1699)。徳川綱吉の時代です。
初代髙津伊兵衛が伊勢の国から江戸へ出て、雑穀商で年季奉公をしたのちに、日本橋の近くで戸板を並べて鰹節と干魚類の商いを始めました。その後、鰹節問屋を開業し、屋号を「伊勢屋伊兵衛」として「イ(にんべん)」をデザインした暖簾を掲げると、誰からともなく「にんべん」と呼ばれるようになったのだそうです。
にんべん 日本橋本店
(写真提供:株式会社にんべん)
にんべんは江戸時代に初めて商品券を市中に広く流通させることに成功したお店と言われています。店頭に持参すればいつでも鰹節と交換できるという薄い銀板でできた商品券「イの切手」を六代目髙津伊兵衛が創案し、発行しました。
また、削られた状態の鰹節を小分けしたパック包装も、にんべんが昭和44年(1969)に業界に先駆けて発売したものです。それまでは鰹節はどこの家庭でも食事の前に削って使うものでした。
今では当たり前となっていることが、にんべんから始まっていたのですね。
こんなコラボレーションも
せっかくですので、こちらもお知らせしておきます。
2023年に発売30周年を迎えたカルビーの堅あげポテトから、にんべんが監修した「究極のだし味」が発売中です。
「だし! すこぶるだし!」というキャッチコピーは歌舞伎俳優の松本幸四郎さんが考案しました。鰹節粉末にはにんべんの本枯鰹節を100%使用しています。だしがしっかり効いていて、これぞ日本のポテトチップスという味です。期間限定ですので、どうぞお食べ逃しなく。
山本海苔店について
山本海苔店の創業は嘉永2年(1849)。同じ日本橋室町の日本橋弁松総本店の言葉を借りるなら、「ペリーが来る4年前」のことです。
山本海苔店 日本橋本店
(写真提供:株式会社山本海苔店)
創業以来、「海苔ひとすじ」の山本海苔店では、明治時代に二代目山本德治郎が天皇陛下へ献上する品として味附海苔を創案しました。厳選素材を調味した「海苔のはさみ焼き」のような商品は味附海苔の元祖である山本海苔店の真骨頂と言えます。
意外なところでは日本初のドライブスルー設置店としても知られています(現在は閉鎖)。竣工時にドライブスルーがあった現社屋は、日本橋室町一丁目地区第一種市街地再開発事業の区域に位置し、今年は建替工事が控えています。今後はイートインスペースを併設した店舗に生まれ変わるそうです。
ほかにもここでは語りきれないエピソードがたくさん。日本橋の老舗は誰かに話したくなるトリビアの宝庫ですね。
「日本橋もの繋ぎプロジェクト」が面白い!
2021年11月の記事で、東銀座の和菓子店「木挽町よしや」の三代目斉藤大地さんの呼びかけで始まった「銀座もの繋ぎプロジェクト」についてご紹介しました。
そのときの記事はこちら 【東銀座】 路地裏から見つめる東京の今むかし「木挽町よしや」
ここから暖簾分けをした「日本橋もの繋ぎプロジェクト」が発足し、現在も継続中です。
日本橋もの繋ぎプロジェクト 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@nihonbashi_monotsunagi
(画像提供:日本橋もの繋ぎプロジェクト)
この「日本橋もの繋ぎプロジェクト」では、山本海苔店の代表である山本貴大さんが担い手となり、日本橋エリアの人とものをつないでいます。出演者の個性が際立つ動画がとても面白いので、ぜひご覧になってください。にんべんは「じゅうご繋ぎ目」に登場。チャンネル登録をして、公式X(旧Twitter)をフォローすると新着動画のお知らせが届きます。
われわれは現代を生きる江戸町民だ
にんべんと山本海苔店は襲名制の商家であり、当主は江戸時代より初代の名前を継いでいます。現代社会では戸籍や法人登記の変更など、改名の手続きも多岐にわたることでしょう。そのうえ、長い歴史を持つ看板を背負う覚悟がどれほど大きなものか庶民の私には想像もつきません。
けれども、伝統を守り続けるお店にふれたとき、私たちは古くからの歴史が確かに今につながっていることを実感します。江戸の町民たちが命名した「にんべん」という呼び名が現在の社名になっていることも、当時の日本橋のまちの息吹きを知らず知らずのうちに追体験しているようなものです。そんなふうに思わせてくれる老舗の存在はやはり偉大だと思いました。
店舗情報
にんべん 日本橋本店
https://www.ninben.co.jp/
中央区日本橋室町2-2-1
COREDO室町1 1階
山本海苔店 日本橋本店
https://www.yamamoto-noriten.co.jp/
中央区日本橋室町1-6-3
今回ご紹介したコラボレーション商品と、にんべん、山本海苔店の商品は全国の小売店で販売されています。ぜひお住まいの地域で「中央区の味」をお楽しみください。