はじめ

銀座の街路樹に、御礼申し上げます

9月に入っても厳しい暑さが続く今日この頃。今年の夏ほど、街歩きをしていて街路樹の有難さを感じたことはありません。この2か月余、たいへんお世話になっている銀座の主な街路樹を、「中央通り」を中心に紹介させてください。

カツラ@中央通り

カツラ@中央通り 銀座の街路樹に、御礼申し上げます

1986年に制定された「日本の道100選」のひとつ「中央通り」。銀座通り口交差点から銀座八丁目交差点にかけては「銀座中央通り」の愛称で呼ばれています。かつてはシダレヤナギが通りのシンボルとなっていましたが、その後シャリンバイ、イチイと移り変わり、東京五輪2020に向けてカツラに植え替えられました。
カツラは、ハート形の葉が特徴的。また、秋に黄葉して落葉した葉は、バニラやカラメルのような甘い香りを放ちます。「カツラ」という名前の由来を、「香りが出る」という意味の「香出(かづ)る」とする説もあるようです。葉の形も香りも「銀座中央通り」によく似合う街路樹だと思います。

ケヤキ@晴海通り

ケヤキ@晴海通り 銀座の街路樹に、御礼申し上げます

銀座の「ヘソ」ともいえる銀座四丁目交差点で、「中央通り」と交差する「晴海通り」。日比谷の内堀通りから、東雲の湾岸道路を結んでいます。
ケヤキは、竹の庭箒を逆さにしたような樹形がとても美しい木で、樹皮は鱗片上に剥がれます。木材としては、耐水性・耐久性に優れ、さらに木目も美しいという特徴があるそうです。「他に抜きん出ていること」「際立っていること」という意味の「けやけし」が「ケヤキ」という名前の由来。都内では表参道のケヤキ並木が有名ですが、晴海通りでも枝ぶりの大きなケヤキが日陰をつくってくれています。

イチョウ@昭和通り

イチョウ@昭和通り 銀座の街路樹に、御礼申し上げます

「中央通り」の全線に渡り東側を並行し、起終点で交差している「昭和通り」。関東大震災(1923年)の復興事業として計画、建設された道路で、1928年に完成しました。
イチョウは、国土交通省国総研「わが国の街路樹 20236月)」によると、日本で最も多く植えられている道路緑化樹木(高木)です(第2位は僅差でサクラ類。第3位がケヤキ)。厚い葉に多くの水分を含むことからイチョウは燃えにくく、関東大震災でもその延焼防止の効果が確認されています。イチョウは、震災復興道路である「昭和通り」にふさわしい街路樹といえるでしょう。
ちなみに「イチョウ」という名前は、葉の形が鴨の水掻きのある足に似ていることから宋の時代に「イーチャオ(鴨脚)」と呼ばれていたことに由来しているそうです。