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2024 秋の風物詩 陽を浴び輝き揺れるススキの穂

 2024 秋の風物詩 陽を浴び輝き揺れるススキの穂

 ススキは日本全国の野原に自生するイネ科ススキ属の多年生草本で、所謂 "茅(萱)” と総称される、屋根を葺く材料に利用される有用植物の主要な一種です。                    花穂が動物の尾に似ることから尾花とも呼ばれ、秋の七草の一つに数えられ、秋の到来を演出し、古くは万葉集に詠まれ、源氏物語や枕草子にも登場します。                    花鳥風月画や蒔絵などの秋草紋様、ススキミミズクなどの郷土玩具、炭俵、草履、箒等にも利用され、日本人の生活に深く馴染み、親しまれています。                      かつては、集落の傍らに採取場の「茅場」を備え、人の手で大切に維持管理されてきたとされます。                花穂は当初赤味を帯び、頴果(エイカ)には白い毛が生え、花が開き切る頃ふわふわと銀色に、やがて季節が深まると黄金色に輝きます。                  月見シーズンには、秋の収穫の感謝を込め、芋や豆等の収穫物と共に、穂の出たススキを、この時期にはまだ刈り取り前の稲穂に見立てて、花瓶に生けて供えられます。                 茎が中空のため、古来、神様の宿り場 "依り代" と信じられ、また、鋭利な葉と鋭い切り口は、魔除け効力があるとされ、そのため、月見に供えるススキには、悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味も込められていると聞きます。軒先に吊ったりして、災いから田や家を守る風習が今も残っている地方もあるようです。                                  浜離宮恩賜庭園 潮入の池の畔の草地に育ったススキが、陽を浴び輝き、風に揺れています。