~百花繚乱~
古伊万里の世界
毎年春に開催される「東京アート アンティーク」は楽しみなイベントです。中でも日本橋にある「前坂晴天堂」さんの古伊万里の数々は眺めていると時間を忘れてしまいます。
この秋10月11日~15日まで5日間の展示会がありました。
古伊万里
江戸時代に肥前有田で誕生した日本で最初の磁器です。華やかな金襴手は元禄期に豪農や豪商など当時の特権階級の高級食器として国内向けに作られました。
柿右衛門
柿右衛門が作り出した素地は柔らかく温かみのある純白で色絵を引き立てています。この白は「濁手(にごしで)」佐賀地方の方言で米の研ぎ汁のことをいいます。
牡丹や藤袴の花を見ている勇ましい虎はおかしくもあり、風流ですね。
柿右衛門は当時ヨーロッパの王侯貴族を魅了して高級食器として伊万里港から送られました。ドイツのアウグスト強王は柿右衛門の影響を強く受けてコレクションにも含まれているとのこと、日本人の高い技術と美意識は「マイセン磁器」の誕生に貢献しました。
古九谷・吉田屋
加賀・前田家に伝世している古九谷を再興すべく、豊田伝右衛門が文政7年(1824年)に吉田屋窯を開窯しました。今年は200年に当たります。吉田屋窯の功績は大きく、その後加賀にはいくつもの窯が作られ一大窯業産業へと発展して行き現在の九谷焼へと脈々と受け継がれています。色絵磁器のなかでも、柿右衛門、古伊万里、色鍋島と共に高く評価され色鮮やかな上絵付で知られます。
鍋島
江戸時代、佐賀藩 鍋島家の御用窯として高い技術で作った器は献上品や贈答品として珍重されました。
写真は「鍋島色絵鶏頭文五寸皿 五客」で、三つの鶏頭の花と雌日芝が描かれた五客揃いの貴重な皿です。鶏頭は中国では立身出世を意味する吉祥の花で、日本でも古来より秋の花として万葉集でも詠まれました。
鍋島は、同じ佐賀県の日本を代表する磁器ですが、国内外に送られた伊万里焼と違い、藩主の命によって献上品や贈答品という特別な目的のために限定された窯でのみ製作されました。窯が置かれた大川内は技術の漏えいを防ぐための「秘窯の里」とも呼ばれたそうです。
模様は植物や野菜など身近な題材を用いて卓越した構図、精密な技術と美しい色合い、昔はお殿様しか手に取ることの出来なかった作品が400年の時を越えて「前坂晴天堂」で咲いてます。お店に伺うとすぐ近くで観せて頂ける幸せを実感します。
お店情報
前坂さまにいろいろ教えて頂いて感謝いたしてます。
ありがとうございました。
前 坂 晴 天 堂 東京・日本橋店
〒103‐0027
中央区日本橋3-7-10 内藤ビル1階
Tel.03-3527-9595