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『四谷怪談』というと、やはり新宿区四谷を思い浮かべがちですが、こちらの神社で配布されている資料（出典：岸乃青柳『東京のお寺神社謎とき散歩ー歩いて訪ねる首都圏のご利益さん』）には、以下の説明がありました。

時は、明治以降。所は中央区新川。
『東海道四谷怪談』を手掛けては天下一品といわれた市川左団次から、「四谷まで毎度出かけていくのでは遠すぎる。是非とも新富座などの芝居小屋のそばに移転してほしい」という要望もあり、明治十二年（一八七九）の四谷左門町の火事で社殿が焼失したのを機会に、隅田川の畔にあった田宮家の敷地内に移転した。

それが現在の中央区新川にある於岩稲荷神社で、四谷の稲荷神社とまったく同体の神社だ。その新川の社殿は昭和二十年（一九四五）の戦災で焼失したが、戦後、四谷の稲荷神社ともども復活して、現在は二つの稲荷神社がある。

境内には、中央区に現存する最古の百度石があります。
左側面を見ると、「大阪浪花座興行記念　四代目　市川右団次」と記されているのがわかります。

こちらは、彼がお岩を記念して奉納され、区民有形民俗文化財に指定されています。

銀座、築地、日本橋などの観光地からは少し離れた場所に位置していますが、近くまでお越しの際には、この怪談ゆかりのスポットに立ち寄ってみてはいかがでしょうか？