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関東大震災からの復興建築を巡る
関東大震災からの復興建築として昭和８年（１９３３）に創建された「髙島屋日本橋店（創建時の名称は日本生命館）」。設計を担当したのは、上高地帝国ホテルや川奈ホテルなどの設計者としても知られる高橋貞太郎。重厚な西欧の歴史様式に、和風建築の意匠が随所に見られる。当時は、三井本館と共に、東京で贅を尽くした二大建築物と言われたという。その後、昭和２７年から４０年にかけて、高橋の意匠を継承しつつ、近代建築の手法を巧みに取り入れた村野藤吾による増築が行われた。平成２１年（２００９）「全体が一体不可分の建築作品として完成度が高く、わが国の百貨店建築を代表するものの一つとして重要」という評価を受け、百貨店建築として初めて国の重要文化財に指定された。（指定名称：髙島屋東京店）
建築家の横河民輔が設計した旧三井本館（明治３５年竣工）が関東大震災で被災したため、昭和４年（１９２９）に三井の主要各社が入るオフィスビルとして竣工した。地上７階・地下２階、鉄骨鉄筋コンクリート造の建物で、関東大震災の２倍に相当する地震に耐えられるようにつくられたといわれる。設計・施工には当時の最高水準を誇った米国の会社（トローブリッジ＆リヴィングストン事務所）が起用されている。圧巻なのは、建物の外壁に取り付けられたコリント式オーダー列柱であり、平成１０年（１９９８）に国の重要文化財に指定されている。
長崎市にある「平和祈念像」の作者として知られる彫刻家の北村西望が制作した銅造彫刻「燈臺」。兜を身につけた青年が松明を持ち、獅子をしたがえている力強い造形が見る者を引き付ける。昭和８年（１９３３）、関東大震災１０周年の記念塔として数寄屋橋公園に設置された。ブロンズ製の鋳造銘板にある「不意の地震に不断の用意」の言葉を肝に銘じて、日々を過ごしていきたい。
【参考文献】 歩いてわかる中央区ものしり百科