【ドラマブログPart1】「蘭学事始地碑」の巻

新シリーズ「ドラマブログ」を開始します。

義務教育の社会の授業で習う『解体新書』や『杉田玄白』っていう言葉に覚えがありますでしょうか?

「解体新書」とは?
1774年、杉田玄白・前野良沢らがオランダ語解剖書「ターヘル・アナトミア」を翻訳して出版。
人体解剖図と詳しい説明を木版で刷った全5冊の和本で、当時の日本医学に大きな衝撃を与えました。

観光検定の教科書「ものしり百科」にも次のように掲載されています。

”豊前国(大分県)中津藩奥平家の中屋敷が現在の明石町にあった。
同藩の藩医で蘭学者でもあった前野良沢は、杉田玄白、中川淳庵(じゅんあん)、桂川甫周(ほしゅう)らと中屋敷に集まり、オランダ語の医書「ターヘル・アナトミア」の翻訳に取り組み・・・”うんぬんかんぬん

ってことで、この歴史上の事実をドラマ風に紹介しようと思いつきました。

では、目で物語をお楽しみください

※なお執筆の一部に生成AIを利用しております。(そんな時代です)

小説 『解体新書の夜明け』

小説 『解体新書の夜明け』 【ドラマブログPart1】「蘭学事始地碑」の巻

明和八年三月。

小塚原刑場の空は鉛色だった。
冷たい風が吹きすさび、処刑場の土を巻き上げる。
杉田玄白は、死刑囚の遺体を前にして立ち尽くしていた。
医師でありながら、その光景に足が震えた。
だが次の瞬間、彼は恐怖を忘れる。

切り開かれた腹部から現れた臓器が、手にしたオランダ解剖書の図と寸分違わず一致していたからだ。

「まさか……。」

声がかすれた。何十年も信じてきた医学が、音を立てて崩れ落ちていく。
そして、その向こうに真理が姿を現した。
玄白の胸は激しく打った。興奮か、恐怖か、自分でも分からない。
ただ一つだけ確かなことがあった。

この真実を日本に伝えなければならない。

帰路の夕空は血のように赤かった。
前野良沢がぽつりと言った。

「訳してみるか。」

玄白は即座にうなずいた。その時はまだ誰も知らなかった。
それが何年にも及ぶ苦闘の始まりであることを。

明石町の中屋敷。
机の上には解剖書が広げられている。だが文字はまるで暗号だった。
辞書は乏しく、文法も十分には分からない。
一行訳すのに三日。一頁進むのに一か月。
それほどの難事業だった。
夜が更けても玄白の部屋だけに灯がともる。
家族が眠っても、町が静まっても、彼だけは筆を走らせ続けた。
しかし訳文は何度も行き詰まる。ある夜、玄白は原稿を握り潰した。

「くそっ……分からぬ!」

机を叩く。完成など不可能なのではないか。そんな思いが胸をよぎる。
だが目を閉じると、あの日の小塚原が甦る。切り開かれた人体。
オランダ書と寸分違わぬ真実。あの衝撃が彼を再び机へ向かわせた。

年月が流れた。仲間たちの顔にも疲労がにじむ。議論は激しくなった。
前野良沢は一切の妥協を許さない。玄白も譲らない。

「その訳では意味が違う!」
「だが他に解釈のしようがない!」

怒声が飛ぶ。部屋の空気が凍り付く。学問への情熱は、時に友情をも傷つけた。

金も尽きかけていた。出版には莫大な費用がかかる。

世間には「蘭学など異国かぶれだ」と嘲る者もいた。
失敗すれば笑い者になる。それでも玄白は筆を置かなかった。
置けば、あの日見た真理を裏切ることになる。

安永三年。
ついに最後の文字が書き終えられた。部屋には静寂が満ちていた。
玄白は震える手で表紙を見つめる。そこに刻まれていた題名。

『解体新書』

その文字を見た瞬間だった。張り詰めていた糸が切れた。
玄白は崩れるように座り込んだ。涙があふれた。

仲間との激論。眠れぬ夜。投げ出したくなった苦しみ。何度も諦めかけた日々。

すべてが胸に押し寄せる。窓の外では夜明けの光が差し始めていた。
玄白は本を胸に抱いた。小塚原で見た一人の死。
その死は無駄ではなかった。
真理を求める者たちの努力によって、一冊の書物となり、多くの命を救う未来へとつながったのだ。
東の空から昇る朝日が、明石町の屋根を黄金色に染める。玄白は静かに空を見上げた。

その目には、もう迷いはなかった。
日本医学の新しい夜明けが、今まさに始まろうとしていたのである。

おわり

~小塚原紀行~

~小塚原紀行~ 【ドラマブログPart1】「蘭学事始地碑」の巻

ドラマは終わりました。
大河ドラマ風に現代の景色を紹介しよう。

まずは、屋敷があった明石町と小塚原の位置。
小塚原へは、五街道の起点、日本橋から日光街道を通って行ったのではないだろうか

豊前国(大分県)中津藩奥平家の中屋敷の場所

豊前国(大分県)中津藩奥平家の中屋敷の場所 【ドラマブログPart1】「蘭学事始地碑」の巻

TOP画像の場所
聖路加旧館の前です。

あ、聖路加は、「せいろか」って認識している方が多そうですが、「せいるか」が正解です。
まあ「路」は普通「ロ」と読むので、「聖留加」にすればいいのに、と適当に思いつき

小塚原刑場跡地

小塚原刑場跡地 【ドラマブログPart1】「蘭学事始地碑」の巻

南千住の駅近くにあります

小塚原回向院正面

小塚原回向院正面 【ドラマブログPart1】「蘭学事始地碑」の巻

回向院にあるレリーフの全景

回向院にあるレリーフの全景 【ドラマブログPart1】「蘭学事始地碑」の巻

荒川区が設置の案内板

荒川区が設置の案内板 【ドラマブログPart1】「蘭学事始地碑」の巻