三原橋
特派員ブログで「東京温泉」が取り上げられていましたが、これについては、サイデンステッカー氏は、次のように述べています(『立ちあがる東京』)。
「ここ(三十三間堀を埋め立てた地)にはまた、『東京温泉』なるものもできる。トルコやスカンジナヴィアからの最新の技術を取り入れたと称して、大小の風呂から個室まで備え、百円の料金で(当時のインフレを考えればそうたいした額ではない)、マッサージ嬢つきで入浴できた。この時代としてはかなりショッキングだったらしい。・・・・・・・しかしやがて、この温泉を始めた業者は実は慧眼だったことが立証される。これが口火となって、以後、ここのサービスなど控え目な、つつましやかにさえ見える店が次々に現れることになるからだ。『東京温泉』の大胆さはむしろ、この苦しい時代にまさしく東京が必要としていたものだったのかもしれない。」
この『立ちあがる東京』(TOKYO RISING;1990年)は、維新から大震災までの東京について述べられた前著『東京下町山の手』(LOW CITY, HIGH CITY;1983年)の後編で、大震災後から昭和40年代半ばころまでの東京について述べられたものです。両書とも、私の愛読書です。源氏物語を英訳するほど日本語に精通されている著者が、区史等にも目を通して、東京の文化、社会風俗の歴史を中心に述べられています。
ここでは、東京市が15区から始まってやがて35区になった経緯、都制になった経緯、そして戦後現在の23区制となった経緯についても述べられており、私の東京の歴史等についての知識はこの両書が基本になっています。
三十三間堀川が埋め立てられた経緯なども、この書物で知ったのですが、埋め立てられる前の姿を鳥瞰したような写真を見たいものと思っていたところ、下記のサイトで発見しました。
https://wako226.exblog.jp/18850678/
三十三間堀に架けられた橋の一つだった三原橋の跡地帯の現在の姿を写してきました。