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「水戯庵」

 Lonely Planet 社の旅行ガイド“Tokyo” が、2019年8月に改訂されています。中央区関係の記述について、2015年8月刊のものと比べると、冒頭の”Tokyo’s Top 16” では、築地(場外)市場と歌舞伎座の2箇所が入っている点は変わっていません。市場は豊洲に移転したものの、豊洲の新市場は入らず、築地場外市場が残っています。市場が豊洲に移転し、築地地域の焦点は、現在では、築地魚河岸のほか、一帯の多くの商店などである、と述べられています。

 “Entertainment” の部分を見ると、” Lonely Planet’s Top Choices” としてとして挙げられている5か所のうちに、歌舞伎座と並んで ”Suigian” が入っています。 少なくとも、私は、これまで聞いたことがない名称だったのですが、”Suigian” とは「水戯庵」で、日本橋室町、コレド室町2の地下にあります。

 

https://suigian.jp/

 

 

 「水戯庵」

 上記サイトでは、「新感覚の劇場型レストラン&ラウンジ」で「非日常世界『水戯庵』。そこでは、今まで体験したことの無い夢の宴が毎日毎晩繰り広げられます。本物の伝統芸能が舞い踊り、旨い食事、酒、お茶、甘味が江戸・明治・大正期の時代物の器たちにより振る舞われます。」「水戯庵は20:30以降、『百川ラウンジ』と称し、バー&ラウンジとしてご利用いただけます。芸納言と呼ばれる女流演者が毎晩演奏を行い、食・酒とともに『日本の宴』を演出します。」とあります。

 

 「百川」とは、江戸時代後期に、この近辺「日本橋浮世小路」にあった料理茶屋ですね。この「百川」については、既に本ブログでも、2016年3月に、「日本橋室町の福徳神社の近くに、江戸屈指と言われながらも明治初期に姿を消した謎の料亭「百川(ももかわ)」がありました。

 高級料亭は、江戸文化が成熟するにつれて登場した料理屋形態で、凝った料理、盛り付け、器等を料理屋が競い合う中で、遊び心も加わりながら粋な江戸料理へと進化したそうです。高級料亭は多くの文化人のサークルが形成され、江戸文化の発展に大きく貢献したと言えます。」と紹介されています。

 

https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/archive/2016/03/post-3176.html

 

 「百川」については、その後、2016年10月に、新潮社から小泉武夫著『幻の料亭「百川」ものがたり』という書物が刊行され、現在では新潮文庫に入っています。