やげん堀納めの歳の市、「江戸太神楽」公演
~ 江戸太神楽 丸一仙翁社中 ~
『ギフト、そして自分も楽しむ』をハイスペックに取材します、rosemary sea です。
12月26日(木)から28日(土)の3日間、東日本橋の薬研堀不動院にて行われました毎年恒例の「やげん堀納めの歳の市(おさめのとしのいち)・歳末大出庫市(おおでこいち)」は、多くの人出で賑わいました。
1年前にも取材させていただきましたが、その際の来場者数は約2万人、とのこと。
「歳の市」は、薬研堀不動尊歳の市保存会さんの主催です。
会長 渡辺秀次さんにお世話になりました。
「歳の市」とは、門松や注連飾り(しめかざり)などのお正月用品を売り出す市のこと。
江戸時代には各地で行われておりましたが、その市の最後を飾ったのがここ薬研堀でした。
ただ、現在も続けて残るのは、このやげん堀納めの歳の市と、浅草の羽子板市だけとなってしまいました。
「大出庫市」は、東日本橋やげん堀商店会さんの主催です。
会長 尾崎和雄さんにお世話になりました。
「大出庫市」とは、歳の市と併催され、地元衣料品問屋街の超お買い得品がいっぱいです。
100店ほど並ぶ露店では、質の良い衣料品や日用雑貨がとてもお安くなっております。
いわゆる「チンドン屋さん」も、大出庫市のムードを盛り上げていました。
居合わせたお母さんとお嬢さん、さっそく一緒に記念撮影です。
最終日の28日には、午後2時より例年のごとく「一龍斎貞水(いちりゅうさい ていすい)さんの講談」も催されました。
講談発祥の碑がある薬研堀不動院ならではの公演です。
無料で聞ける、とてもすばらしい機会です。
一龍斎貞水さんは講談協会の会長を永く務められております、人間国宝のかたです。
特に怪談ものが得意で、「怪談の貞水」と云われます。
今年の演題は「元禄十三年」。
皆さん「忠臣蔵」はご存じですよね。
忠臣蔵は元禄十四年の、浅野内匠頭接待役就任による、吉良上野介からのいじめがスタートでした。
それ以前はどうかと言いますと、家来の機転をきかせた付け届けが功を奏したり、じっといじめに耐えたり。
前年の「元禄十三年」は、岡部美濃守(みののかみ)という人、上野介のいじめにしっかり耐えた後、そのパワハラに対する仕返しをした、というお話。
このことで忠臣蔵の「いじめ」が倍加された、と云われています。
1年前の演題は「三方目出鯛(さんぽうめでたい)」。
年末、50両の金策に窮した小普請(こぶしん)のお侍が、松下陸奥守(むつのかみ)にお金を借りるため、下男を使いに出します。
ところが間違って松平陸奥守の邸宅へ・・・。
良い人ばかりが登場する、すばらしい世の中を描き出しています。
ロズマリの好みの演題です。
江戸太神楽 丸一仙翁社中(えどだいかぐら まるいちせんおうしゃちゅう)さんも、今年も3日間ともこちらで公演されました。
丸一仙翁・第13代家元に、今年もお世話になりました。
「江戸太神楽」、3日間の公演は、1日3回です。
26日(木) 11時30分・14時45分・17時
27日(金) 13時・14時45分・17時
28日(土) 13時・14時45分・17時
※ 毎日1回目と3回目は45分ほどの公演です。
※ 毎日大護摩(おおごま)が焚かれますので、第2回の14時45分は祭囃子のみの、15分ほどの公演となります。
お待たせしました、ここから江戸太神楽 丸一仙翁社中さんのご紹介です。
昼間の画像は2日目17時公演のもの、夜の画像は1日目11時30分公演のものを使用しています。
ただし、一番上の画像は1年前の画像、仙馬(せんま)さんの傘の曲芸・金輪(かなわ)、フィニッシュを決めたところです。
それでは・・・
江戸太神楽・・・
太神楽の起源は平安時代、と云われています。
江戸時代になり大流行、その要因は「お伊勢参り」。
一生に一度は伊勢神宮にお参りに行きたい、というのが庶民の願望。
しかし遠方在住では旅費も高く、さらに日数もかかります、江戸からは片道15日。
そこで伊勢神宮や、同様に信仰を集めていた熱田神宮の神官子弟が、獅子頭を持ち各地へ出張、お祓いをして御札を配って回りました。
直接参拝する代わり、すなわち代神楽、ここから太神楽と別表記になった、と云われています。
丸一仙翁社中・・・
江戸時代から続く太神楽を代表する屋号のひとつで、熱田派に属します。
この派は1664年(寛文4年)、熱田神宮の許可を得て江戸に赴き、大小の屋敷を廻り「悪魔祓い」をしたそうです。
その後の寛文9年には江戸城吹上の庭で将軍家の上覧に供しました。
ここから江戸出張が恒例となり、やがて江戸に移り住むことに。
現在では各種舞台やイベント、海外公演と、大変ご活躍されています。
また、お正月には日本橋界隈を中心に、昔ながらの町内廻りもされています。
・・・お待たせしました、薬研堀不動院での演目のご紹介です。
『』内は家元のマイクパフォーマンスです。
『まもなく薬研堀不動院、階段下におきまして、江戸太神楽の公演があります。
今日から3日間、歳の市ではたくさんのいろいろなものを販売しておりますので、どうかお買い物をしながら、400年の伝統を持つ江戸太神楽、お楽しみいただきましょう。』
『恒例となりました江戸太神楽、江戸の祭囃子から聞いていただきましょう。
まずは打込屋台(うちこみやたい)と言いまして、段階的にたたく屋台囃子。
この祭囃子、打込屋台、聖天(しょうでん)、鎌倉、四丁目(しちょうめ)、と続きまして、上げ屋台へと入っていきます。』
左から、花仙(かせん)さん、仙若さん、仙吉さん、仙虎(せんこ)さん、家元です。
仙虎さんの後ろのスタッフさんは手にけがをされていて、今回は控えに回られているそうです。
『祭囃子は打込屋台から、静かな曲、聖天という曲目に変わります。・・・』
『お囃子は聖天から、もうひとつ静かな曲、鎌倉という曲目です。・・・』
『鎌倉から、祭囃子のテンポのある曲、四丁目に変わっていきます。
この四丁目という曲は、締太鼓(しめだいこ)同士でジョイントをします。
ここからお互いの締太鼓、たたき方が変わっております。・・・』
『お楽しみいただいております祭囃子、いよいよ最後の曲目、上げ屋台です。・・・』
『はい、ありがとうございました。
懐かしい江戸の祭囃子を生で聞いていただきました。
お雛さまの五人囃子の原点であります祭囃子です。
こちらは江戸太神楽の本芸です。』
『歳の市ではお馴染みとなりました江戸太神楽、公演を行っております。
今度は皆様の厄を落とすために、獅子舞を観ていただいて、今年の悪い運勢を全部捨てていただきましょう。
寿(ことぶき)獅子舞が始まります。
江戸時代は将軍様と大名屋敷でしかやらなかった獅子舞、そしていまだに日本橋というところ、門付(かどづけ)をお正月はやっております。
その獅子舞を観ていただきましょう、寿獅子舞です。』
『ご祝儀~三番~、よーいとなー。・・・』
『これが太神楽の獅子舞の途中までなんですけど、これから本当は獅子が噛んで回るんです。
噛んで回るとお客さんがいなくなっちゃうんですよ、あとで回ります。・・・』
『ここで、太神楽の中でもうひとつ有名なもの、曲芸の方をちょっと観ていただきましょう。
日本にもすばらしい曲芸が残っております。
憶えていらっしゃいますよね?20世紀の終わりに、この曲芸で家(うち)が2軒建ったかた。
テレビの中で、「おめでとうございま~す」って。
すごいでしょ、あの人たち、一番ギャラが高い時200万ですよ、20分で、ええ、家も建ちますよね。
フジテレビさんも昔は200万払っていたんですから、(収録していたフジテレビのスタッフさんに向かって)ここは放送しないようにお願いします。
でも安心してください、今日はね、お不動さんと薬研堀不動尊歳の市保存会さんからね、5,000万ずつもらっていますからね。
(ここでロズマリ、「嘘ですよ!」と手を振ると)手を振っている、中央区のかたが。
さあ行ってみよう、お目出度い傘の曲芸。
どうして目出度いかっていうと、傘自体が末広がりで目出度い。
そして傘の上でいろいろ回します。
まずは毬(まり)を回して、家庭が丸く収まります。』
画像は仙若さんの演技です。
『ご覧のとおり、うまく回っております。
うまいな、と思ったらいっぱい手をたたいてあげてください。
あしたの朝まで回しております。』
『じゃ、今日はお客様とコミュニケーション、どうするかっていうと、毬をお客様の手許に持っていきますので、傘めがけて放ってください。
そうすると、うまくキャッチしますのでね。・・・せーの。』
『・・・はい、ありがとう、ナイスコントロール、おめでとうございま~す。』
『じゃ、もうひとり、おにいちゃん、せーの・・・よいしょ、お上手。』
『じゃ、こっちのおねえさん、小っちゃい子がみんなうまくいっているんでね、せーの・・・よいしょ、はいおめでとうございます。』
『さあ、傘の上のキャッチボール。』ひとりが傘の上の毬を放り、別の演者がその毬を傘で受けます。
『はい、じゃ調子に乗って2個。(はーい、と仙虎さん)』
『・・・じゃもう1個増やそうか、3個いってみよう。(無理~、と仙虎さん)無理でもやる。(無理~)じゃ行きますよ、タイミングよく行きます、でも安心してください、誰か失敗します。』
『はいできた。(できたー、大成功ー)はい、だんだん速く、まだまだ(無理~)無理じゃない。』
『・・・やめちゃったよ、はい、ありがとうございまーす。
でもすごいねー、今日は3個いったよ、いつもは3個、1回もできたことないんですよ、(まぐれでーす)さすが薬研堀のお蔭です。』
・・・仙虎さんのキャラ、大好きです。
『はい、今度はね、金の輪、金輪(かなわ)です。
回り出すと金の輪の音、回る音が綺麗に聞こえます、いい口上(こうじょう)をつけました、うまく回ると皆さんのご家庭、金回りがよくなります、はい行ってみよう。・・・』
『横を向いて傘をつぼめていきますと、これが「月にさざ波時雨傘(しぐれがさ)-」、お月さまにさざ波が立っているように見えたところで元に戻して輪を空中へ、よいしょ!義経の八艘跳び!今日は天井が無いので、一番高いの、挑戦してみようか。』
『さあ、傘の周りをゆっくり回っております、ゆっくり回っている輪が途中で小さく1回転、「唐草は“の”の字のかきわけー」、大回り小回りがうまくいったところで、輪がだんだん速く、輪がだんだん寝ていきます、まーだまだ寝ます、はい、これが松戸の競輪ー。』
『はい、よかろう、だんだん起き上がって真ん中の黒いところにうまく入ると輪抜け、入らないと間抜け、今日は輪抜けか間抜けかー、よいしょ、大成功!うまい、さすが。』
再度申し上げますが、一番上の画像が“輪抜け”を決めた場面です。
芸の途中で家元にバトンタッチです。
さすが家元、日本橋生まれの79歳とのことですが、芸歴72年の真骨頂です。
『さ、今度はね、仙馬がちょっと変わったものに挑戦しようと、じゃ湯呑茶わんね、ジャパニーズ ティーカップ、はい、瀬戸物です、落とすと割れます、今日は落として割るところからご覧に入れます(割るわけがありません)、回します、綺麗な音がします、耳をすまして聞いてみてください、お茶わん、さ、行ってみよう、よいしょ!・・・』
『(チリーンチリーンという音)瀬戸物の回る音が聞こえてまいります、さ、このまま傘を速く回していきます、お茶わんの向きをよーく見ていてください、お茶わんがだんだん(だんだん)、だんだん(だんだん)、よいしょ、起き上がって、いとじりー(はい)。』
『はい、お茶わんが上向きに回っております、皆さんの運勢も上向きー、はい、まだ回っています、お茶わんだけに、ちゃわんと回りました。』
『さあ、今度は四角いものに挑戦です、小っちゃい子に「なあに?」って聞くとほとんどわかんないんです、わかる子で「まめまくときのはこー」って言うんです。』
『これ、升(ます)って言います、じゃ、大人のかた、わかりますよね?何合升でしょう?何合?そう、聞こえた?五合升(ごんごうます)、豆撒く時の升が一升升(いっしょうます)です、ね、それの半分です、2つ合わせると一升になるんですね。』
『四角い升が丸く回っているように見えますと、皆さんのご家庭が一升升升(いっしょうますます)ご繁昌。』
『さ、ご覧のとおり、四角い升が丸く回っているように見えれば、正面を向いて半分を表に出しますと、「淀の川瀬は水車(みずぐるま)-」、まだまだ回っています。』
・・・申し訳ございません、総画像数の関係で、升の演技はご紹介できません。
『さ、花仙、半てん脱いで、今日は特別、もうひとつ、きょうはやらない予定だったんですよ、「バチ」の曲芸というのを見てください。』
『たいこのバチをこういうふうに綺麗に作り上げて、これを投げ分けます、赤い方を握らないで、1回転させてこうやって振り分けます、これを今日は3本から6本まで行きます、まずは3本、こんな感じです。』
『2回転して取ります、中抜き、今度は片手2本、うまい、肩打ち、手動式のマッサージ、ほんと疲れます。』
『・・・曲取り曲投げごぼう抜き、回転しないとごぼうを抜いているように見えます、はいうまくいった。』
花仙さん「二人でやりますか?」
『二人でやるの?』(アナウンスを仙虎さんに交替します。)
仙虎さん「はい、親方、特別出演、今度は花仙と親方が二人でやります、まずは親方、後ろに立ちます。」
「はい、奪われてしまいました、取り返します、うまい、また取り返します、すごいです、そして今度は横に行きます。」
家元と花仙さん、息ぴったりです。
仙虎さん「横から取っちゃいます、これがほんとの“横取り”ー、ありがとうございます。」
「取り返します、花仙も負けてはいません、4本の腕がごちゃごちゃになって、ああもうわからない、今度二人仲良くなりました、ありがとうございます。」
「そして向き合いましてバチが行ったり来たり、親方から花仙へ、うまい、今度は片手投げ、よいしょ、今度は2本足します、全部で5本、はい行ったり来たり、はいもう1本増やしまして6本、さ、めっちゃくちゃ取り、うまくいきましたら大きな拍手をお願いいたします、はい、ありがとうございまーす、大成功!」
『あー疲れた、さ、もうひとつ観ていただきましょう。・・・』
『今度はバランスをとる曲芸で、水の曲芸、というのをもってきました。
この曲芸はこういう場所でしかできなんです、舞台上に水を撒くなんて日本の舞台はどこもやらせてくれません、水で舞台が汚れるとか、掃除するのが大変とかでやらせてくれないんですが、我々しょっちゅう海外へ行ってますけど、海外の舞台はどこもやらせてくれます、その中で一番うける芸、水の曲芸、バランス芸を観ていただきましょう。』
『まずは長い棒の先、丸いののついたのを持ち出しまして、これ、我々、「つく」って呼んでいます。
この上に房のついた板が乗ります、その板の上にお水の入ったコップが乗ります、うまくバランスをとって親指の上に乗せます、ほっ、はい乗りました。』
『このまま口元にもっていきます、手許から細ーい糸を持ち出します、この糸の上に建物全体がうまく乗ります、ほっ、はい乗りました、ありがとうございます、はい、少~し揺れます、「沖の大船(たいせん)船(ふな)ゆすりー」。』
『更に右と左に糸を引っ張りますと、こんな芸ができます、回りながら左手に、「金(きん)からくりは回し灯篭(まわしどうろう)」。』
画像は鈴仙(すずせん)さんの演技です。
『はい終点、よいしょ、よかった。・・・』
『今度はあの上にごはんを食べる時のお茶わんが乗ります。
そしてお茶わんの中に、このコップの水が入ります、そうするとどんな芸ができるか観てあげてください。』
『お茶わんが乗りました、コップの水を入れます、すごいね、全部入れたね、(おかわりー)おかわりですか、さ、手許から細い竹の楊枝(ようじ)を持ち出しました、これを口にくわえます、楊枝の突端に建物が乗ります。』
『うまく乗りましたらお茶わんの方にご注目いただきましょう、「小野小町は祈りの雨ー」。』
『はい、ご覧のとおり、綺麗に水が散っております、まだまだ、まだまだ、はい、よいしょ。』
これも画像をご紹介できません。用意はしていたのですが。
『はい、これからお客様の厄を払いに、獅子さんが皆様の頭を噛みに回ります、左の方から。
その場にいてください、厄落としです、来年も良い年になりますように、願いを込めて頭を下げていただきたいと思います、はいありがとうございます。』
『はい、ありがとうございます、太神楽、観ていただきました。
それでは皆様の来年の運勢もいいようにですね、江戸前に三本締めでお別れしたいと思います。
ご唱和ください、いきましょう、いよーお、ちょちょちょん、ちょちょちょん、ちょちょちょん、ちょん。
・・・はい、ありがとうございました。』
『良いお年をお迎えください、そしてお店がたくさん出ております、買い物して帰っていただきます。
今日から歳の市が始まりまして、あさって28日まで毎日このようにやっておりますので。
福引もやっております、いいものが当たりますのでね、いっぱい買い物してってください。』
『太神楽、これで終わります、ありがとうございました。』
・・・家元、そして丸一仙翁社中の皆さん、今年もすばらしい芸を観せていただきありがとうございました。
ロズマリもハンカチの買いだめをして帰りました。
とても良い買い物にもなりました。
大本山川崎大師東京別院 薬研堀不動院
※ 太神楽の画像は1年前の記事で、より多くの場面をご覧いただけます。
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