「ひだりうま」は縁起がいい。
秋競馬もそろそろ終盤というところです。銀座にあるJRAの施設(WINS)はこの秋、盛り上がりました。
牡馬と牝馬の両方で無敗の三冠馬が誕生したほか、先日の「天皇賞」では〔アーモンドアイ〕が史上初めてGIレース8勝目を挙げました。日本の競馬史に残る記録ずくめのシーズンになったのです。
古来、馬は日本人の生活の身近な存在であり、農耕にも欠かせなかったことから、家族用に愛されてきました。馬にまつわる民話や伝説が各地に残っていますね。
皆さんは「左馬」(ひだりうま)という文字をご存じでしょうか。「馬」という漢字を左右反対に書き記したものです。大変縁起の良い文字として、勝負の世界では特に大事にされてきました。
そのいわれは諸説あるのですが、有力なもののひとつに「馬は左から乗ると落ちることがない。うまくいく」というものです。聞いた話では馬は人が乗ると首を左に振ることが多く、歩くと左旋回のほうがしやすいため、ある意味理に適っているそうです。欧米の馬術では左側から乗ることが常識とされてきました。ただ、日本ではかつては右から乗っていたこともあったらしく、ぼくには真偽はよくわかりません。
ほかには、「うま」の逆は「まう=舞う」となって、美しい言葉であるという説もあります。これはややこじつけっぽい気もしますが、いかがでしょう。まあ、いずれにしても、文字の形として見栄えがいいですし、昔からハッピーデザインとして愛されてきたことは間違いありません。
日本にはちょっとしたご祝儀を「ぽち袋」に入れて手渡すという趣ある習慣があります。この袋に「ひだりうま」の文字をあしらうとさらに感謝の気持ちが高まって、相手にも伝わるのではないでしょうか。
ここに記載したのは、築地の〔津多屋商店〕さんで販売する「ぽち袋」のいくつかの意匠のうちのひとつです。粋でかっこいいでしょう?
年末年始のご挨拶やお年玉に、ちょっと上品な感じでこんな袋を使ってみるのもよいかと思います。「ひだりうま」のパワーが広がるかもしれませんよ。