「特別区」としての中央区
中央区という名称について、前に少し述べたことがありますが、
https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=1230
最近、大阪市で「大阪市廃止・特別区設置案」についての住民投票が行われ、あらためて、特別区制、政令指定都市制、行政区制についての関心が高まったようです。そして、今回の大阪市の特別区設置案の理由の一つは、大阪市の人口規模が大きすぎるので、大阪市を廃止し、行政的な適正規模と考えられる人口70万人程度の特別区に分割(行政区の統合とも言える)するということだったようです。
しかし、議論されていた内容を見ると、東京「都」や、23特別区制の歴史や実情などについての検討が十分ではないように感じられ、大阪市立小・中学校出身である自分の私見としては、住民投票が否決されたことに安堵しています。実際のところ、東京23区で構成される特別区協議会は、都制度の弊害を解決するべく、「特別区の廃止」を表明しているのです。
https://www.tokyo-23city.or.jp/chosa/tokubetsuku/research/kagai03.html
人口面だけで見ても、東京都23区では、設置当時(昭和22年)から、かなりの変動がありました。 現在の人口で見ると、令和2年1月1日現在で、東京都人口総数が1383万人、区部総数が957万人ですが、区別で見ると、最大が世田谷区の91.7万人、最少が千代田区の6.6万人、中央区は、千代田区に次ぐ少数で16.8万人となっています。世田谷区に次いで人口が多いのは、練馬区73.9万人、大田区73.4万人、江戸川区70.0万人などとなっています。
しかるに、旧35区が現在の23特別区に統合された理由の一つが、戦災によって各区の人口その他に甚だしい差異が生じたため、これを調整しないと復興その他の施策に支障があることにあったわけです。
https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/01soumu/archives/0714tokyo_ku.htm
それから70年以上経過した現在、各区の人口その他に甚だしい差異が生じており、区の再統合が問題とされるのは当然でしょう。
その場合、人口最大の世田谷区、人口最小の千代田区で、特別区から「市」への転換に熱心な意見があるのはおもしろい現象です。
なお、東京都区部の分割・統合案としては、1999年に森記念財団が「東京都を6特別市に」という案を出しています。この案では、6特別市とは、千代田市(千代田区、文京区など)、城東市(中央区、江東区など)、城南市、渋谷市、新宿市、池袋市となっています。
http://www.tokyo23city-kuchokai.jp/katsudo/arikata/pdf/201002/to_shiryo1-2.pdf