ガラスの建物と14色のアートの共演 ―銀座メゾンエルメス/ジュリオ・ル・パルク展
数寄屋橋交差点近くにある「銀座メゾンエルメス」(銀座5-4-1)。フランスの有名ブランド・エルメスの旗艦店や日本法人の入る建物として、2001年に完成しました。
この建物の特徴はなんといっても外壁の大半を覆うガラスブロックです。昼間は銀色に輝いてクールな印象を与えますが、夜になると室内の光がガラスブロックを通して外に漏れ出し、建物全体がランタンのように柔らかく光ります。
(ちなみにこのガラスブロックは、積み上げるのではなく、上から吊るすようにして取り付けることで、耐震性能を確保しているそうです。)
今なら幅の広い側面部がよく見えます
そんな銀座メゾンエルメスですが、西隣にある「ソニービル」(1966年竣工)が2018年に解体され、背の低い「銀座ソニーパーク」になったことで、数寄屋橋交差点も含めたより広い範囲からその全容を視認できるようになりました。
ソニービルがあったときは間口の狭い晴海通り沿い以外が見えづらかったのですが、現在は幅の広い奥行き方向もよく見えるので、その存在感が増しています。
壁面を大胆に使ったアートを期間限定で展示!
さて、現在、この幅が広いほうの壁面を使って、巨大な虹色のアート作品が展示されています。
これは、アルゼンチン生まれでフランスを拠点に活動するアーティストのジュリオ・ル・パルクさんによる「シリーズ14-2 分割された円」という作品です。
この巨大な作品は、メゾンエルメス8〜9階の「フォーラム」で開催されている「『ル・パルクの色 遊びと企て』ジュリオ・ル・パルク展」にあわせて設置されています。
ちなみに、10月14日までは《ロング・ウォーク》という別の作品が展示されており、その後、半月ほどかけて展示替えが行われました。
建物内「フォーラム」で個展を開催中
同展覧会は、ル・パルクさんの日本初の個展。ル・パルクさんは、ある時期から自ら構想した14色のみを用いた作品群を制作していますが、この展覧会では、それらの作品や、数々の“実験”のプロセスが展示されています。
使う色はたった14色なのに、形や組み合わせや配置を変えるだけで表現の可能性は無限大に広がっていく─そんなワクワク感を追体験させてくれる展示です。
エレベーターが面白い
今回の展示で私が特にオススメしたいのはエレベーターです!
現在、フォーラムに行くには、店舗とは別のソニーパーク側の入口からエレベーターに乗る経路になっているのですが、このエレベーターの中にもル・パルクさんの作品が展示されています。
このエレベーター内の作品の仕掛けが非常に面白いのです。楽しい体験で思い出すだけでニヤニヤしてしまうので、私は会期中にもう一回見に行こうかと画策しています(笑)
アーティストと鑑賞者は平等な存在と考え、どんな人でも参加できるような芸術を多く制作してきたル・パルクさんの思想を身を以て体験できた気がします。
詳しい仕掛けの紹介は…ぜひ体験していただきたいので、現地に行ってみてのお楽しみとしておきたいと思います。
(なお、写真に写っている、エレベーターの外側に常設されている作品は新宮晋氏の「宇宙に捧ぐ」です。風によってゆっくり動く仕掛けになっていますので、ぜひじっくりご覧ください。)
個展は11月末、ファサード展示は12月末までの予定!
ジュリオ・ル・パルク展は2021年11月30日までの開催です。入場は無料で、開館時間は11:00〜19:00(最終入場18:30)となっています。 ※11月20日(土)は休館
壁面を使った展示については、個展終了後12月末まで継続を予定されているようなので、個展終了後ももう少し楽しむことができそうです。
そしてメゾンエルメスの手前では「銀座ソニーパーク」の解体が始まっており、そのうち新しい「ソニービル」が出現することになります。数寄屋橋からメゾンエルメスの全景を見ることができる期間も残り少なくなってきております。
銀座メゾンエルメスを訪れるなら、この秋、とくに11月中がオススメです!