築地で見つけたたまごグルメ
日本記念日協会によると、2月5日は「煮たまごの日」だそうだ。
たまご料理はもともと好きだったけど、とある料理本で、プロがやっている煮たまごを上手に作るコツを学んで以来、煮たまごは私の得意料理になった。
さて。中央区でたまごといえば、築地である。
築地とたまごのつながりが強くなったのは、卸売市場が日本橋から築地へ移転してまもない大正末期のこと。新鮮な魚介類を築地へ仕入れにきた寿司屋の大将相手に厚焼き玉子を売る専門店が登場したのが、そもそもの始まりだ。それら専門店の玉子焼きを食べ切りサイズにした「串玉」は、今や築地場外市場を代表する食べ歩きフードと言えよう。
今回は、すでにブログやレビューが多数ある玉子焼きではなく、それ以外の「築地たまごグルメ」をご紹介したい。
TKGにぴったり!新海商事さんおすすめの「那須御養卵 極」
たまごグルメを探すべく、特派員RIEdelが最初にむかったのは、たまごの卸売りをされている新海商事さん。「築地魚河岸」の小田原橋棟に入っている。
鮮度抜群のたまごを扱っているお店だから、TKG(たまごかけご飯)にぴったりのたまごをお店の方に訊いてみた。
そこでおすすめいただいたのが、こちら。
稲見商店 卵工房 「那須御養卵 極」432円(税込)
漢方処方の自然飼料を使用しているため栄養価が高く、ビタミンDは一般のたまごの約3倍、ビタミンEはなんと約30倍もあるそう。
試しに一つわってみたところ、黄身の色が驚くほど濃く、黄色というよりはむしろオレンジ色に近い。
炊き立て熱々のごはんにかけていただいたところ、ケチャップライスと見まがうほどご飯がきれいなオレンジ色に染まった。たまごの濃厚な甘味を味わいたいTKG好きには特におすすめしたいたまごである。
tsukiji SHOUROさんの「玉子焼屋のしゅーくりーむ」
築地たまごグルメの中で、ここ半年ほど注目度が急上昇している店がある。
玉子焼きのつきぢ松露さんが昨夏オープンしたスイーツ専門店「tsukiji SHOURO」だ。
晴海通りと新大橋通りの交差点にあるtsukiji SHOURO
中華の巨匠・脇屋シェフとコラボしたエッグタルトも美味しいが、RIEdel的おすすめはやっぱり「玉子焼き屋のしゅーくりーむ」。
しっかりたまご感のあるカスタードクリームで、まず舌が満足。そして良質なたまごをたっぷりと使った証の黄色がシュー皮の内側にも見えて、目でも満足。食べながらついつい「むふふーっ」という声にならない声が出てしまうシュークリームなのだ。
ちなみに、tsukiji SHOUROさんの店内には、こんな素敵な板絵がある。
店員さんに伺ったところ、グラフィックデザイナー関翔吾さんに依頼したものだそうだ。
大きく枝を広げているのは、松露の店名にちなんだ松の木。その松には金色に輝くたまごの実がなっている。そのたまごが放つ光に誘われて、リスやウサギ、ペンギン、クマなど森の動物たちが集まってきた様子を描いているのだという。
また、作者の関翔吾さんによると、この板絵の左から2枚を右側へ並び替えると、離れ離れになっていたムササビ(一番左で、実は外側にむかって飛んでいる)がリスと再会する物語になるのだそう。なんともおしゃれな仕掛けだ。
しゅーくりーむの箱にも宝物のような金色のたまごがキラリ
たまごの風味豊かなスイーツが買えるだけでなく、素敵な物語も楽しめるお店tsukiji SHOUROさん。
これを読んですぐにでもお店へ行きたくなった方もいるかもしれないが、ちょっと待って。こちらのお店のスイーツは保存料を使用していないため、賞味期限が非常に短い。私がしゅーくりーむを購入した時は「今日中にお召し上がりくださいね」と言われた。店舗での購入を希望される方は、是非買うタイミングと食べるタイミングも計算してお店を訪れていただきたい。
おまけ:つきじ波除神社の玉子塚
築地でたまごとくれば、忘れてはならない場所がある。
こちら、つきじ波除神社の境内にある玉子塚である。
東京鶏卵加工業組合が創立30周年を記念して1993年に建てたもので、台座部分には、玉子焼き専門店として今も場外市場でお店を構えている大定・玉八商店・築地山長・松露・丸武などの名前がずらりと刻まれている。毎年10月には料理に使用されたたまごへの感謝をこめ、玉子焼きを供えて供養祭も行われているそうだ。
ちなみに、なぜ「卵」ではなく「玉子」の字が塚名に使われているかというと、この塚を建てたのが、たまごを加工するお店の組合だからである。
JA全農たまご株式会社によると、卵と玉子には以下のような違いがある。
「一文字の「卵」は孵化して育つ生き物のたまごを指します。
鳥だけでなく、魚や虫のたまごも一文字の「卵」と書きます。
一方、二文字の「玉子」は食用のものを指し、鶏のたまごを表すのが一般的です。」
つまり、食用のたまごを加工する組合が建てる塚は「卵塚」ではなく「玉子塚」と書くのが適切ということになる。
今回は、生たまごとシュークリームの2品を紹介したが、築地には美味しいたまご料理がまだまだたくさんある。場外市場の路地を歩きながら、あなただけのたまごグルメをみつけに来て欲しい。
アクセス情報
■有限会社 新海商事
〒104-0045東京都中央区築地6-26-1築地魚河岸 小田原橋棟1F
都営大江戸線「築地市場駅」A1出口より徒歩4分
東京メトロ日比谷線「築地駅」1・2番出口より徒歩2分
http://www.shinkai-tamago.co.jp/index.html
■tsukiji SHOURO
〒104-0045東京都中央区築地 4-7-5 KYビル1F
東京メトロ日比谷線「築地駅」2出口より徒歩3分
都営地下鉄大江戸線「築地市場駅」A1出口より徒歩5分
https://shouro.co.jp/dessert/
■玉子塚(波除神社内)
東京メトロ日比谷線「築地駅」1出口より徒歩7分
都営大江戸線「築地市場駅」A1より徒歩6分
http://www.namiyoke.or.jp/