なぜ於岩稲荷神社が中央区にあるの?
上の写真は、中央区新川にある於岩稲荷田宮神社の境内の写真ですが、実は於岩稲荷田宮神社は2箇所あります。一つは上の写真ですが、、もう一つは新宿区左門町にある於岩稲荷田宮神社です。ここは「東京都指定旧跡」に指定されています。
上の写真が、新宿区左門町にある「於岩稲荷田宮神社」です。ここは田宮家の邸内にあった社です。寛永13年(1636)に夫婦仲睦まじく賢妻で、傾きかけた田宮家を再興させたお岩さんが亡くなると、その遺徳にあやかろうと、信仰していた屋敷社を「お岩稲荷」と呼び、多くの人が参拝するようになりました。それから約200年後、鶴屋南北が戯曲「東海道四谷怪談」を創作し、お岩を幽霊にした脚本で評判になりました。ところが明治12年(1879)年の大火の被害にあって焼失してしまいます。そこで歌舞伎役者の初代市川左団次から、「芝居小屋(新富座)の近くに移転してほしい」との要望もあり、新川に移転することになりました。左門町の旧地には小さい祠だけが残り、飛地境内社となりました。昭和20年の戦災により、二か所の社殿とも焼失しましたが、昭和27年(1952)両方の社殿が復興し、今日に及んでいます。
上の写真は新宿区左門町にある「於岩稲荷田宮神社」の前にある案内板です。この案内板には、新川に移転したことが記載されています。同じ名前の神社ですが、無料で配布されているパンフレットには、全く同体の神社と記載されていますが、東京都神社名鑑(東京都神社庁)では、左門町の神社が「飛地境内社」と記載されています。
参考資料:東京都の不思議辞典(下) 新人物往来社
新宿区の文化財史跡(東部編)
東京都神社名鑑(上)東京都神社庁
お岩稲荷神社パンフレット
鎮座地
・中央区新川2丁目25番11号
・新宿区左門町17