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2022 暮の春「牡丹華」

 2022 暮の春「牡丹華」

 新緑が目に眩しい季節。さまざまな花が咲き乱れ、自然界の色も一気に明るさを増す中で、ひときわ華やかな存在感を放つのが「牡丹」です。七十二候では「牡丹華(ボタンハナサク)」の頃となります。  光沢のある薄い膜質の大きな花びらが幾重にも重なる艶やかな花姿は、「百花の王」「花王」と称され、「富貴」「風格」という花言葉に恥じない、庭木の女王の名に相応しい優雅な美しさです。  咲き始め~咲き終わり迄20日程で、「二十日草」とも呼ばれます。中国原産で、一説では奈良時代に薬草として渡来したとされ、その後観賞用として栽培され、季節の題材や伝統文様のモチーフとして愛されてきました。                     浜離宮恩賜庭園内のボタンは、約60種800株とされ、一重咲き、八重咲き、千重咲き、万重咲き、平咲き、抱え咲き、獅子咲き と咲き方は多彩で、花色も、紫、赤紫、黒紅、紅(赤)、薄紅、白、黄 と変化に富み、覆輪(外縁部が地と違う色で縁取り)、底赤(花弁の底部が濃い紅色)、絞り といった花柄も見られます。                                     「暮の春」とは、春も酣(タケナワ)を過ぎ、晩春の頃の趣を伝える言葉。                ボタンは初夏への橋渡しをするかのように、春のフィナーレを飾る大輪です。