小猿

「新富座こども歌舞伎」ー例大祭奉納公演ー
鉄砲洲稲荷神社神楽殿にて

5月5日のこどもの日、鐵砲洲稲荷神社で3年ぶりの「新富座こども歌舞伎」の公演が行われました。青空の下、たくさんの人が子供たちの熱演に拍手拍手、歌舞伎を楽しみました。長浜曳山まつりの子ども歌舞伎を中央区にも、と始まって17年、今回の公演は第14回を迎えました。

役者は中央区の子供たち、唄や三味線お囃子は、保護者や卒業生、地元の人々の協力で作り上げた晴れ舞台です。

寿式三番叟

寿式三番叟 「新富座こども歌舞伎」ー例大祭奉納公演ー
鉄砲洲稲荷神社神楽殿にて

三番叟は、お能の「翁」という作品がもとになった舞踏です。五穀豊穣や国の安泰、家族の幸せを願って踊ります。神楽殿での踊りは、神社の巫女さんの歌舞を思わせます。鈴の音も軽やかで清々しい空気に包まれます。

三人吉三巴白波 大川端庚申塚の場

三人吉三巴白波 大川端庚申塚の場 「新富座こども歌舞伎」ー例大祭奉納公演ー
鉄砲洲稲荷神社神楽殿にて

振袖姿のお嬢吉三、評判の盗賊で、節分の夜に百両と刀を奪い取ります。陰から見ていた盗賊のお坊吉三、百両をめぐってお嬢吉三と争いに。そこへ、これも盗賊の和尚吉三、止めに入り、やがて盗賊三人は義兄弟に。

白浪五人男 稲瀬川勢揃の場

白浪五人男 稲瀬川勢揃の場 「新富座こども歌舞伎」ー例大祭奉納公演ー
鉄砲洲稲荷神社神楽殿にて

「知らざぁ言って聞かせやしょう。浜の真砂と五右衛門が、歌に残した盗人の、種はつきねぇ七里ヶ浜、、、」というおなじみのせりふ。揃いの美しい小袖に一本差し、「志ら浪」と書いた番傘の五人の男。天下の大盗賊団の首領、日本駄右衛門と四人の手下、弁天小僧菊ノ助、忠信利平、赤星十三、南郷力丸です。

悪事を重ね、追っ手を逃れて桜が咲き乱れる稲瀬川の堤まで来たところで悪運も尽き、待ち伏せしていた捕手たちに取り囲まれ、一人一人名乗りをあげ、立ち向かっていきます。

 

伝統を未来へ

伝統を未来へ 「新富座こども歌舞伎」ー例大祭奉納公演ー
鉄砲洲稲荷神社神楽殿にて

明治8年に守田座から再興した新富座、明治22年の歌舞伎座開場まで一時代を築きました。現在の京橋税務署のあたりにあり、大正12年の関東大震災で被災、そのまま再建されませんでした。華やかだった頃の絵と説明版が税務署の横にあります。

平成19年、中央区地芝居という形で新富座の精神を残そうと、地元の方々の支援で子供たちを役者として「新富座こども歌舞伎」が演じられました。以前、京橋プラザ区民館でこども歌舞伎を練習している場に出会いました。練習を重ねて、大人でもむづかしいせりふをよどみなく演じている姿に、限りない可能性と、伝統を受け継いで行く未来を見せていただきました。

参考資料:「新富座こども歌舞伎」パンフレット

      中央エフエム「中央区街角スケッチ」