2022 初秋の風物詩「ススキ」
ススキは日本全国の野原に分布するイネ科の多年草。 花穂が動物の尾に似ることから尾花とも呼ばれ、秋の七草のひとつに数えられ秋を象徴し、古くは万葉集に詠まれ、源氏物語や枕草子にも登場します。 花鳥風月画や蒔絵などのモチーフ、ススキミミズクなどの郷土玩具、茅葺屋根の材料、炭俵、草履、箒等に利用され、日本人の生活に深く馴染んできた有用植物で、かつては集落の傍に採取場の「茅場」を備え、人の手で大切に維持管理されてきたとされます。 花穂は赤っぽい色ですが、穎果(種子)には白い毛が生え、花が開き切る頃ふわふわと銀色に、やがて季節が深まると黄金色に輝きます。月見のシーズンには、秋の収穫の感謝を込め、芋や豆などの収穫物と共に、穂の出たススキを、この時期まだ刈り取り前の稲穂に見立てて、花瓶に生けて供えられます。 茎が中空のため、古来、神様の宿り場、依り代と信じられ、また、鋭利な葉と鋭い切り口は、魔除けの効力があるとされ、そのため、お月見に供えるススキには、悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味も込められていると聞きます。軒先に吊ったりして、災いから田や家を守る風習が今でも残っている地方もあるようです。 2つの複合遊具、せせらぎ、芝生、健康小道、デイキャンプ場を備え、リニューアルされた築地川公園の一角に設えられたビオトープに植栽されたススキが陽を浴びて輝いています。