【八重洲】 東京駅前で七十有余年 餃子老店「泰興楼(たいこうろう)」
みなさんは餃子はお好きですか。私は知らず知らずのうちに好きになっていました。
それもこれも“東京三大ジャンボ餃子”のうちの二店がわれらが中央区にあるからだと思います。
今日は“東京三大ジャンボ餃子”のひとつである八重洲の泰興楼、Tai Kou Rou TOKYO本店を訪れたときのことをレポートします。
さくら通りで営餃中
八重洲一丁目のTai Kou Rou TOKYO本店は外堀通りからさくら通りを入ったところにあります。
以前は泰興楼 八重洲本店として、八重洲通りで営業していましたが、地域の再開発(※)に伴ってこの場所に移転し、名物の餃子はそのままに2020年10月からTai Kou Rou TOKYO本店となりました。昔からのファンでひさしぶりに訪れるという方は、旧店舗の前で大規模工事中の姿を目にしても驚かないでくださいね。泰興楼は健在です。
※現在、「東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業」(東京都都市整備局ホームページ)が進行中です。
♪餃子のおいしい中華店
はじめにご紹介したように、八重洲の泰興楼は銀座の「天龍」と台東区上野の「昇龍」とともに“東京三大ジャンボ餃子”に数えられています。このうち、中央区にある「天龍」については、2022年5月にレポートしました。
“東京三大ジャンボ餃子”はいずれも12センチほどの大きさがあります。見た目のインパクトが先行してしまいがちですが、三店の餃子に共通しているのはほかでもない、味のよさです。大陸式でニンニクを使わない餡と、それを包む厚めのもちもちとした皮。いずれのお店も丁寧に作られた長年変わることのない味が人気の秘密です。
泰興楼が創業した頃の東京
泰興楼が東京駅前で創業したのは昭和24年(1949)のことでした。当方のブログ記事の中では、前述の「天龍」と印度料理専門店「ナイルレストラン」も同じ年に営業を始めています。この年は、戦後の食糧事情の改善を目的とした「飲食営業緊急措置令」(昭和22年公布)が廃止された年であり、販売統制下にあった酒類の自由販売が解禁された年でもあります。それまで幾度も延長されてきた「許可を受けた者以外は飲食営業を営んではならない」という時代がようやく終わりを迎え、各地で飲食店の開業、再開が相次いだのだそうです。
その頃の東京の様子を見てみましょう。東京の日々を写真で記録している「東京アルバム」(東京都公式ホームページ)に昭和20年代の写真がありました。
都内の常設露店姿消す/昭和26年(1951) ※東京都提供
最盛時13,000軒を超えた露店は都民の生活を陰で支えていたが、この年を最後に常設露店は都内から姿を消した。
また、中央区のホームページ「中央区を、知る」では昭和32年(1957)に撮影された「八重洲通りから見た東京駅」の姿を見ることができます。
創業時のエピソードを漫画にした「泰興楼的故事」によれば、当時はおいしい食べ物は庶民のあこがれ、明日への活力でした。今では泰興楼の代名詞となっている餃子は、山東省出身の初代店主が「満州時代に食べたあの味が忘れられない」というお客さんのリクエストに応えて作ったもの。ずっしりとした餃子には70年以上の長きにわたって、初代の心意気が受け継がれています。
いよいよ店内へ
Tai Kou Rou TOKYO本店の店内はモダンで、先ほど見た昭和の時代からはたくさんの月日が流れたことを実感します。中華風というより西洋風のインテリアはカフェのようで、どなたにとっても利用しやすい明るい雰囲気です。
それではメニューのご紹介です。まずは名物の餃子にズームイン。
焼餃子(焼きギョーザ)4個 税込860円×2人前
食欲をそそる餃餃しい風格。メニューには4個と6個があるので、数の調節がしやすいですね。
素材を感じる挽き具合の餡はとてもジューシーでした。タレは卓上のC八醤(詳細はのちほど)で味変をするのもおすすめです。
ジャンボ餃子はときにバナナ餃子とも呼ばれます。これは餃子の大きさと形を果物のバナナになぞらえてのことですが、面白いことに泰興楼には香蕉餃子という本物のバナナ餃子のメニューがあります。具材にバナナを使ったデザート餃子。残念ながら私たちが訪れた日には提供されていませんでした。出会えたらラッキーかもしれないので、ご興味のある方はぜひお試しください。
続いて麺類もご紹介。
上海炒麺(上海風焼きそば) 税込1,210円
いわゆるあんかけ焼きそばです。麺は細麺でやわらかく、ときどき現れる焦げ目がおいしいです。
具材は山の幸でした。お酢をかけるのも好きです。個人的に「餃子の次に頼むべきはこれ」というひと品です。
人気店のため、ここで時間いっぱいとなりました。ディナータイムは予約必須です。
おみやげコーナー
おしゃれな店内に泰興楼オリジナルグッズのおみやげコーナーが。
その中に各テーブルに置かれていたC八醤がありました。辛いもの好きのスタッフのために、料理長がまかない用に作ったというC八醤は八種類の材料がブレンドされた辛味調味料です。
C八醤(シー・パー・ジャン) 税込594円
※写真の瓶はディスプレイ用です。
知る人ぞ知る泰興楼の裏メニューでしたが、お客さんに提供したところ、とても喜ばれたので販売を始めたそうです。ラー油とはひと味違うC八醤。中央区土産にいかがでしょうか。
店舗情報
泰興楼は日本橋三四四会の加盟店です。
Tai Kou Rou TOKYO本店
https://www.taikourou.com/tokyo/
中央区八重洲1-5-15
03-3271-9351
※予約は4名からとなっています。
中央区にある姉妹店はこちら。
リトル泰興楼 Fei店(フェイ)
https://www.taikourou.com/fei/
中央区八重洲1-4-16 八重仲ダイニングB1
03-6265-1837
自由が丘エリアにはTai Kou Rou JIYUGAOKA店があります。