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三井記念美術館展示会『三井高利と越後屋』
(~2023年8月28日まで開催)

三井越後屋が延宝元年(1673)に開店してから令和5年(2023)で350年を数えます。公益財団法人三井文庫・三井記念美術館では、これを記念して特別展「三井高利と越後屋―三井家創業期の事業と文化―」を2023年6月28日~8月31日の期間に開催しています。(この展示会については7月5日にブログ名「滅紫」さんが紹介していますが、興味のある視点が私とは異なりますし、展示会期間が1ケ月弱も残っていますので再度紹介させていただきます)

三井グループの創業者、三井高利(みついたかとし)(1622〜94)。52歳のときに呉服店「越後屋」を開き、「現金掛け値なし」の商法で当時の商慣習を覆した、江戸時代の革新的経営者です。高利と子どもたちは様々な画期的商法で成功を収め、事業を発展させました。展示会ではこの画期的な商法の一端が紹介されています。

三井各家は、事業の発展とともに茶の湯などの文化活動にも力を入れていたので多くの茶道具を収集していましたが、それらが当展覧会で出品されています。

また三井の家法「宗竺遺書そうちくいしょ」や分厚い経営帳簿など普段見ることのない歴史資料なども出展され、創業期から成長期の事業・文化・信仰をわかりやすく展示しています。

 

 

江戸本店「越後屋」の本普請画図面

江戸本店「越後屋」の本普請画図面 三井記念美術館展示会『三井高利と越後屋』
(~2023年8月28日まで開催)

越後屋の江戸の呉服店である江戸本店の絵図。起こし絵と言われる立体模型です。建物内部の部署の配置や、部分的な外観を同時に見られる珍しい資料が紹介されています。江戸本店は少しずつ敷地を拡大し、間取りも改修を加え、徐々に形造られました。

 

「江戸之下町復元図」から越後屋付近を抜粋

「江戸之下町復元図」から越後屋付近を抜粋 三井記念美術館展示会『三井高利と越後屋』
(~2023年8月28日まで開催)

当展覧会への出展物を印刷した書籍『三井高利と越後屋』を購入しました。その中で最も興味を持った「江戸本店本普請画図面」を紹介します。

越後屋江戸本店は、天保年間(1831年~1845年)に間口36間(約65m)に及び、同規模の呉服店は大丸と麹町の岩城枡屋などわずかでした。平成元年4月に国立歴史民俗博物館が刊行した改訂「江戸之下町復元図」の中で、「中央区沿革図集」に掲載を許されたB-2部分(中央区沿革図集 日本橋編P/118)が越後屋を示しているので、抜粋して添付します。図の中心部に「越後屋範囲」として囲われている領域がありますが、その脇に越後屋八郎右衛門・越後屋八郎兵衛などの名が記されていますので店舗の大きさを知ることが出来ます。

【参考文献】

1)「江戸本店本普請画図面」 天保3年(1832): 三井記念美術館 2023年発行「三井高利と越後屋」より

2) 江戸之下町復元図 嘉永7年(1854年): 中央区沿革図集より抜粋