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2024 和の趣漂う優美で凛とした咲き姿

 2024 和の趣漂う優美で凛とした咲き姿

 初夏、真っ直ぐに立ち、優雅で気品ある花姿のハナショウブは、古から親しまれ、しっとりとした風情は人々を魅了してきました。      アヤメ科アヤメ属の多年草で、野生のノハナショウブを基に交配·改良され、数多くの品種が作出されてきた、日本の伝統園芸植物の一つで、サトイモ科のショウブと混同されがちですが、別種です。「いずれアヤメかカキツバタ」との成句がある通り、ハナショウブ、アヤメ、カキツバタは外見が似ていますが、野生状態では、アヤメは乾燥した日当たりの良い草地に、ノハナショウブは水際に、カキツバタは水湿地に生え、花弁の中心に、アヤメは網目模様が、ハナショウブは黄色のV字状斑紋が、カキツバタは白色のV字状斑紋があることで識別できます。                 ハナショウブは、原種の特徴を強く残す長井古種、端正で花色多彩な屋外群生観賞向きの江戸系、花被が縮緬状の垂咲きで鉢植え室内観賞向きの伊勢系、ボリューム豊かで豪華な鉢植え室内観賞向きの肥後系に大別され、花色は、青色系を中心に、白、薄紅、紫、黄と多彩で、単色、暈し、絞り、覆輪など文様の入り方も多岐にわたり、咲き方も、3萼片が大きく目立つ三英咲き、花弁が萼片と同程度に発達した六英咲き、萼片の向きが水平に近く殆ど垂れ下がらない平咲き、花弁や萼片が深く垂れ下がる垂咲き、八重咲き(牡丹咲き/獅子咲き)とバラエティに富みます。     浜離宮恩賜庭園では、戦後、都に下賜された後、中の御門付近を手始めに、花木園、延遼館跡に植栽され、現在約1,000株と聞くハナショウブが咲き揃い始めました。