映画「祈りの幕が下りる時」
キーとなる12の橋、ご紹介します ③
ー 3月 左衛門橋 ー

リモートで、愛する中央区をナビゲートします、rosemary sea です。
『映画「祈りの幕が下りる時」 キーとなる12の橋、ご紹介します』シリーズ、今回は第3回、左衛門橋(さえもんばし)をご紹介します。
左衛門橋は、小説「祈りの幕が下りる時」ではラストを飾るスポットライトの当たる橋ですが、映画化されると柳橋にその座を取って替わられた残念な橋となりました。このブログで何度も申し上げておりますが。
このシリーズは映画「祈りの幕が下りる時」に登場しました橋、キーとなる12の橋を、月ごとにご紹介してまいります。
それでは・・・
左衛門橋は・・・

左衛門橋は、日本橋馬喰町2丁目、千代田区東神田2丁目、台東区浅草橋1丁目にあります、神田川に架かる橋です。
3つの区の境となっております。
左衛門橋
【竣工】昭和5年(1930年)
【歴史・文化的特徴】
慶長年間(1598年~)からこの地に居を構えていた酒井左衛門尉(さかいさえもんのじょう)に因み「左衛門河岸(さえもんがし)」と呼ばれた一帯の由来を橋名にとどめている。
震災復興橋梁である。
【意匠・構造の特徴】
簡素な意匠の鋼製ヒンジアーチ橋である。
石貼の親柱、その上の橋灯が印象的な意匠である。
手すりは簡素なデザインである。
橋桁の側面の色は青色。
【周辺景観との関係】
橋からはビルの谷間の神田川を見通すことができるが、手すりは簡素だが、親柱と橋灯が印象的。
橋詰の児童遊園などから橋を見通すことができるがあまり印象的ではない。
水面からはアーチがきれいに見える。
上流側に併設されているNTT専用橋が橋への視界を遮っている。
~ 千代田区ホームページ より ~
おまけ その1
和泉橋

こちらは左衛門橋の2つ上流の橋、和泉橋(いずみばし)です。もはや中央区ではありません、千代田区です。
(和泉橋と左衛門橋の間には、清洲橋通りが通る「美倉橋(みくらばし)」があります。こちらも千代田区です。)
この橋の北詰に藤堂和泉守高虎(とうどういずみのかみたかとら)の屋敷があったことが橋名の由来だそうです。
藤堂高虎は、戦国時代から江戸時代初期を駆け抜けた武将ですね。秀吉が亡くなる直前に豊臣側から徳川側に移り、関ヶ原の戦いでは徳川軍として参加し武功を挙げました。
(この神田川のかなり上流には同じ名前の「和泉橋」があります。こちらは貴船神社の湧水が由来だそうです。)
なお、上流1つ先の橋は「神田ふれあい橋」、その先が有名な「万世橋(まんせいばし)」、「昌平橋(しょうへいばし)」、「聖橋(ひじりばし)」、「お茶の水橋」、「水道橋」と続きます。
この橋を渡り、先に進みますとJR秋葉原駅、昭和通り口です。
おまけ その2
豊島町(としまちょう)

左衛門橋の近くには千代田区神田の説明板「豊島町」があります。
ー 豊島町 ー
この界隈は、かつて豊島町と呼ばれていました。
元禄16年(1703年)湯島1丁目、同2丁目、同3丁目(現文京区湯島1丁目周辺)の北側にあった町屋が地震による火事で類焼し、翌17年、被災した湯島の人々の新たな居住地が、もともと武家屋敷であったこのあたりに定められます。
そのときに誕生したのが豊島町です。
豊島という町名の由来ははっきりしていませんが町奉行が「この一帯が属している豊島郡には豊島村という地名がすでにあるが、それとは別に豊島町という町名があってもいいだろう」として名付けたと伝えられています(『神田区史』)。
また享保年間(1716年~1736年)の地図には「トシマ丁」とあり、「とよしまちょう」とも呼ばれていたといわれています(『新撰 東京名所図会』)。
江戸時代、このあたりには「比丘尼(びくに)横丁」や、髪油として美男葛(びなんかずら)の油を売る店もあったことから俗に「桂横丁」と呼ばれたこともありました。
そのほか、ここにはさまざまな店屋がありました。
文政7年(1824年)の『江戸買い物独案内(えどかいものひとりあんない)』には、銘茶所(めいちゃどころ)伊勢屋、菓子屋鶴屋、水油仲買枡屋(ますや)など、慶応年間(1865年~1868年)の『江戸食物独案内(えどたべものひとりあんない)』には、豆腐酒芋酒屋の鬼熊、雑菓子卸の青野屋などが見られます。
さらに明治のころになると、豊島館という旅館、龍角散の藤井薬種店、鈴木砂糖商などがあって、たいへん賑わっていました。
~ 東神田豊島町会 ~
左衛門橋

上の地図上、右上部の赤丸で示しました橋です。
日本橋馬喰町2丁目 ー 千代田区東神田2丁目 ー 台東区浅草橋1丁目
既に申し上げましたとおり、神田川に架かる橋として上流側は「美倉橋」、下流には前回ご紹介済の「浅草橋」があります。
中央区・日本橋ブランドから外れることを契機として、『映画「祈りの幕が下りる時」キーとなる12の橋』は1~3月まで続きました神田川遡上を離れます。
次は4月、常盤橋です。日本橋川に架かっています。中央区として日本橋川最上流の橋です。
4月から12月までは日本橋川を下っていきます。