「讃岐のこんぴら酒」を造って230有余年、金刀比羅宮へ御神酒を奉納している西野金陵さん、酒類部・東京営業所(@八丁堀)を訪ねました!
西野金陵さんはどのような会社ですか?
上)お話をうかがった西野金陵さん、酒類部・東京営業所の多田さん。ご出身はやはり香川県とのことでした。
左下)酒類部・東京営業所が入っている西野金陵ビルは八丁堀駅のすぐ近くにあります。
右下)ビル入口にあるディスプレイには、樽酒とNIPPON COLORSシリーズの商品が並んでいます。
当社は、酒造業、酒類・食品卸売業を行う酒類部と化学品事業を行う化学品事業部で組織されています。
創業は、江戸時代初期の万治元年(1658)に阿波国・小松島で天然染料の藍の売買を始めたのがきっかけで(化学品事業部の創業)、その後、安永8年(1779)に7代目・西野嘉右衛門(にしのかえもん)が同国芝生(しぼう)で酒造業を併営し、寛政元年(1789)に8代目・西野嘉右衛門が現在地(香川県琴平町)で酒造りを始め、「金陵」が誕生しました(酒類部の創業)。以来、「金陵」は「讃岐・金刀比羅宮」の御神酒として地元の人々やこんぴら参りの参詣客に広
従いまして、会社としては360有余年、「金陵」を醸し始めてからは230有余年の歴史と伝統があります。
阿波藍をルーツに上記3つの事業を行っている当社は「心を大切にし、食文化を通して社会に貢献する」という企業理念のもと、明日に向かってより一層の飛躍を目指しています。
「金陵」とは?
「金陵」のラベル(同社ホームページより)
酒名「金陵」は、
※ 「金陵」は、中国・春秋戦国時代(紀元前770年~紀元前221年)にあった楚(そ)が置いた「金陵邑(きんりょうゆう)」に始まるとされ、以後、南京の古名として使われています。ちなみに「邑」は「むらざと」の意味となります(by New River)。
なぜ八丁堀にあるのですか?
当社は酒造りを始める前から阿波藍を扱う商売をしていて、商品を船に載せて江戸まで運び、事業を発展させた歴史があり、その当時から江戸に土地を持っていたと聞いています。その土地は色々と変遷があったようですが、最終的には江戸湊から入った八丁堀だったというわけです。
現在、八丁堀には、清酒「金陵」を扱う酒類部の東京営業所、創業以来の事業を展開する化学品事業部(樹脂事業部・機能化学品事業部)の東京支店、そして総務部があり、全部で30名の社員が働いています。
中央区立郷土資料館(中央区新富一丁目13番14号)常設展示室の床に描かれた地図(1950(昭和25)年の中央区)を撮影、加筆のうえ掲載しました。
西野金陵の酒造り ~「金陵」を生み出す水と米~
当社の日本酒は、もともと琴平工場で造っていました。しかし、高度成長期の販売数増加に伴い、良質の水を多度津町葛原の地に求め、昭和44年(1969)に最新設備を兼ね備えた多度津工場を建設、現在、2拠点で酒造りをしています。なお、蔵の数でいえば、琴平工場の「琴平蔵」、多度津工場の「多度津蔵」「八幡蔵」の3つになります。
【良水】
「金陵」の仕込み水は、金刀比羅宮の御神域、象頭山(ぞうずさん)から湧き出る「昭和井戸」と葛原八幡(かずはらはちまん)神社の御神域から涌き出る「八幡の恩湧(やはたのおんゆ)」を用いています。
「八幡の恩湧」について、当社ホームページに次のような説明があります。
>昔、多度津工場を構える多度津町葛原は葛原八幡神社の深い森と涸れることのない泉を指して「葛原は森八丁、池八丁」と呼ばれていた。旧伊予街道と交差している旧善通寺街道のすぐ東側に位置し、殿涌(とのゆ)、鬼涌(おにゆ)、皿涌(さらゆ)の3つの湧水があった。この出水は900年を超える歴史があります。その中の鬼涌をわけてもらって八幡の恩湧と命名。八幡の森の一本一本の木々が根を張り保水し八幡の恩湧を支えている。四国巡礼のお遍路さん達がここで一息の休息を求め、手足を清め喉を潤している姿が思い浮かぶようです。
弘法大師が改修した日本最大の溜池、満濃池を源とする金倉川(かなくらがわ)の伏流水と象頭山からの弘田川水系の伏流水、2つの水流が出合って湧水となっている。夏場の渇水期にも水量・水質とも変わらない豊富な中程度の軟水です。
【酒米】
主に「山田錦」「八反35号」「オオセト」「さぬきよいまい」を使っています。そのうち「オオセト」と「さぬきよいまい」は地元で栽培される酒米で、「オオセト」は「金陵」に用いている原料米の大半を占めています。また、「さぬきよいまい」は、香川県酒造協同組合、香川大学、香川県農業協同組合、香川県の産学官4者の共同開発により、「オオセト」と「山田錦」の交配で誕生した香川県独自の酒米です。平成18年(2006)に「さぬきよいまい」と命名され、平成19年(2007)から同米を使った日本酒が当社を含め県内4社の酒造メーカーにて販売されています。
どのような商品がありますか?
日本酒はもちろん、リキュール・梅酒、ジン・焼酎など多種多様なお酒を扱っています。
具体的な商品は、当社ホームページ(オンラインストア)をご覧いただければと思いますが、今日は以下の4つの日本酒について、ホームページに基づきご説明したいと思います。
※ 4つの日本酒とは、私が興味のある(飲んでみたい)日本酒となります(by New River)。(^^)/
【煌 金陵 純米大吟醸酒】
アルコール度数:16度以上17度未満、原料米:山田錦、精米歩合:35%、価格:12,100円(1,800ml)、6,050円(720ml)
すっきり辛口の高品質純米大吟醸・煌(きらめき)。豪華な桐箱入りでここぞというときのご贈答用にも最適です。香川/讃岐の地酒・金陵ブランドのフラッグシップと言えるその特徴は、精米歩合35%のシャープで上品な辛口。刺身など、特にシンプルな味付けの料理との相性は抜群!冷やしてガラス器で頂くのがオススメです。
【金陵濃藍 純米吟醸】
アルコール度数:15度以上16度未満、原料米:オオセト、精米歩合:58%、価格:3,520円(1,800ml)、1,760円(720ml)、633円(300ml)
-NIPPON COLORS-
金陵のルーツは藍。江戸時代、西野嘉右衛門は藍染めの美しさを全国へ広めました。藍色をはじめとする日本の伝統色には、独自の文化や四季折々の自然の美しさが溢れています。脈々と受け継がれてきた伝統を次代へ繋げていきたい。そんな想いを込め、日本の伝統色でラベルを彩りました。地元の酒米オオセトの良さを引き出したお酒です。さわやかな果実香となめらかな旨味が調和しています。
【金陵 瀬戸内オリーブ純米吟醸】
アルコール度数:15度以上16度未満、原料米:さぬきよいまい(香川県産)、精米歩合:58%、価格:1,738円(720ml)、627円(300ml)
2020かがわ県産品コンクール優秀賞受賞。瀬戸内の温暖な気候で育ったオリーブから「さぬきオリーブ酵母」が誕生(香川県と県酒造組合が共同開発)。青々としたオリーブ由来の天然酵母育ちでありながら、わかいマスカットを思わせるフレーバーと、sweet and sour、新緑を思わせる純米吟醸酒です。爽やかでトロピカルな酸味が特徴。オリーブ牛のタリアータやオリーブ真鯛のフリット等、洋食ともよく合います。
【金陵 ワイン酵母 純米酒】
アルコール度数:15度以上16度未満、原料米:さぬきよいまい、精米歩合:70%、価格:1,705円(720ml)
ワイン酵母で造った純米原酒。白ワイン風の香りと米由来の軽快な甘味が特徴。りんごやチェリーなどを思わせる鋭角的な果実香とボリューム、軽快な甘さと明確な酸味が調和した中で主張する豊富な旨みが、「あぁ日本酒だったんだ、コレ」と思い出させてくれる仕上がり。それでいて最後はドライな余韻が好感。少し冷やしてワイングラスでどうぞ。
以上ご説明しましたが、価格は税込・送料別となっております。
なお、当社の商品はオンラインストアの他、都内の香川県アンテナショップ「香川・愛媛せとうち旬彩館」「ポンテせとうみ」(いずれも港区ですが…)などでも購入できます。
香川・愛媛 せとうち旬彩館(東京都港区新橋2-19-10 新橋マリンビル1F・2F)。香川県と愛媛県が共同で運営しているアンテナショップとなります。
1階は「特産品ショップ」、2階は「かおりひめ(レストラン)」「工芸品・雑貨ショップ」「観光情報コーナー」があり、香川と愛媛の魅力がぎっしり詰まっています。
ポンテせとうみ(東京都港区浜松町2-6-5 1F・2F)。こちらは民間が経営しているアンテナショップで、1階は「特産品ショップ」、2階は讃岐うどんや骨付鳥などがいただける「カフェ・レストラン」が3店舗入っています。
なお、どちらのショップにも「金陵」がありますが、季節によって品揃えが変わる場合がありますので、ご注意ください。
「金陵」のおすすめの飲み方、合わせたい「肴」を教えてください
本日ご紹介した4酒はいずれも冷やして飲んでいただくのがよいと思います。
「肴」に関しては、香川県は瀬戸内海に面しているので、やはり新鮮な海の幸と合わせていただくのがおすすめです。中でも、白身魚とのマリアージュは最高です。
また、香川県のソウルフードとして、讃岐うどんがありますが、香川県民はうどんを昼ごはんに白飯がわりに食べますので、うどんと一緒にお酒を飲むことはあまりありません。しかし、うどん文化と地酒文化が融合した新たな食の文化を、県内外の幅広い世代の方々に楽しんでいただこうという発想から2014年に「うどんに合う酒」が県内諸団体により共同開発されています。
さらに、讃岐うどんに続くソウルフードとしては、骨付鳥がありますが、骨付鳥は油と醤油を使ったスパイシーな食べ物なので、なかなか日本酒に合わせるのは難しいと思います。個人的には、泡モノのビールが一番合うのかなと思っています。苦笑
左)うどんの出汁の旨みに合うように酸味と香りを調整した「うどんに合う酒」は、キレがあって、スッキリとした飲み口が特徴だそうです。さすが、うどん県!一度うどんと合わせて飲んでみたいです。(^^)v
右)アンテナショップで購入した「金陵」3酒! 左から「金陵 瀬戸内オリーブ純米吟醸」「煌 金陵 純米大吟醸酒」「金陵 ワイン酵母 純米酒」。ラベルもその商品の特徴をよく表現していて、とても素敵です。
おわりに
徳島県出身の公文蘆淵(くもんろえん、明治9年(1876)~昭和17年(1942))が描いたと思われる大和絵が社長室に飾られていました。それは、活気あふれる八丁堀・中之橋の風景で、橋の向こうには西野金陵さんの酒蔵が並んでいました。