今再び「新参者」シリーズ ① ~ 人形町 きく家 ~
『ギフト、そして自分も楽しむ』をゴールド・カラーとして取材します、rosemary sea です。
私事ですが、ロズマリはここで人形町に職場が変わりました。
「人形町」の地名は、小説家・東野圭吾ファンの皆さんならよくご存知と思います。
代表作「新参者」も、刑事・加賀恭一郎(テレビドラマでは阿部寛さんが演じています)が日本橋署に異動して捜査にあたったことが、そのネーミングとなっています。
なお、小説「新参者」は2004年から2009年にかけて第1章から第9章まで発表されたものをまとめたもの、テレビドラマ「新参者」はTBS系列にて2010年に放映されました。
ロズマリは2年前にも「新参者シリーズ」の取材をさせていただきましたし、1年半前も映画「祈りの幕が下りる時」公開前に25編の記事を書きました。
新参者のロズマリ、ここで新シリーズを開始します。
その名は『今再び「新参者」シリーズ』です。
月1編程度でご紹介してまいります。
・・・それでは第1弾、『人形町 きく家』さん、スタートです。
冒頭の画像はお店ののれんの前、女将の志賀キエさんです。
この後、『』内のお言葉は女将のコメントです。
きく家さんは日本橋人形町の日本料理の料亭・酒亭です。
日本橋人形町の大観音寺(おおがんのんじ)から日本橋小学校へ抜ける小路にあります。
ロズマリはこちらのブログで、これまで3度、2017年12月5日・2018年6月16日・18日と、きく家さんをご紹介してまいりました。
きく家さん、小説「新参者」では第2章「料亭の小僧」のモデルとなっています。
テレビドラマ「新参者」でもロケ地となっています。
どちらも料亭「まつ矢」として登場しています。
その後、映画「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」、同じく映画「祈りの幕が下りる時」でもまつ矢として映されています。
きく家さん、「新参者」のポスターにもなっています。このとおりです。
きく家さんの建物が大きくアップになっています。
『何枚も写していかれました。
写したのを見せてもらいましたが、最終的には東野さんと編集者がこれを選んだみたいなんです。』
小説(文庫本)の表紙にもなっています。
芸者新道の左側がきく家さんです。
『ポスターとは違うアングルのものですね。』
まずは「新参者」で撮影に使われた部屋。
『こちらは女将が人形焼にわさびを入れた部屋です。』
主人(寺島進さん)とその浮気相手が食べるであろう人形焼に、女将(夏川結衣さん)がちょっとしたいたずらをする、というシーンです。
ちょっと移動して、「はなれ」の方へ。
はなれの一室。
『一番メインに使うお部屋にここが決められましたが、実際カメラが入らなくて撮れないので、ここを写真に撮って、スタジオにそっくりに再現して撮りました。』
『お客さんからは「お地蔵さんの部屋」と呼ばれることがあります。』
ガラス越しに小さなお地蔵さんが見えますでしょうか?
飛騨高山麦酒(ビール)
小説にも出てまいりました地ビール。
『ダークエール(黒褐色のエールビール)です。
阿部寛さんも飲んでいました。』
銘酒「六舟(ろくしゅう)」
こちらも小説に出てきたお酒。
『一番最初に出すお酒です。
活性純米酒です。
お酒に炭酸ガスを入れてしまうと「発泡酒」という銘柄なんですけど、この活性酒となりますと自分の力で出した炭酸ガス。
壜(びん)の中で二次発酵したものです。
ものすごく自然なんですよ。
炭酸が“やわらかい”んです。強くないんです。
でもきめが細かいです。』
その他の撮影ポイント
『うちの前で、缶コーヒーの無糖・微糖・砂糖入りの3本の中から1本を選ばせる、というシーンは、ドラム缶の上みたいなところに缶を置いて撮っていたような気がします。』
⇒(補足)刑事の加賀恭一郎(阿部寛さん)が料亭「まつ矢」の小僧(石黒英雄さん)に声をかけ、缶コーヒー3本の中から選ばせるシーン。
実は①指紋をとること、②自分のために人形焼を買うような甘党かどうか確認、の2つの意味あり。
無糖を選んだ小僧さん、甘党が嘘とばれてしまいます。
あとは玄関前は「麒麟の翼 ~劇場版・新参者」「祈りの幕が下りる時」にも映っています。
「新参者」撮影エピソード
『「新参者」撮影前に阿部寛さんがいらっしゃいました。
非常に爽やかな印象でした。
その際おっしゃっていたことは、「自分がモデルから俳優になりつつある頃、なかなかまだ認めてもらえない時期に、頑張ろうと思ったこと。」「多少お仕事をいただけるようになると、先生と生徒として素直にいろいろなことを指導していただく、というのが必要と思い、何か武道のお稽古事をした。」みたいです。
「それによって自分はある程度の名前も知れてきたけれども、極々普通の自分に戻れて自分をリセットする、そういうお仲間もいる。」とのことでした。
あ、そういうことを思ってらっしゃるんだな、と。
だから今もってああいうふうに良いお仕事をして、どんどんいかれるのかな、と思って。
何かそういう古典的なものを習っていらっしゃるみたいな。
もしかしたら剣道かもしれないですね。』
『うちではお帰りのお客様に、おみやげに「どら焼」をお出しするんですよ。
阿部さんは皆さんでお帰りの時、もう既にどら焼を食べていました。
あまりお酒は飲んでいなかったような。』
『撮影は、ずっと見ていたわけじゃないですけど、まあ和やかだったような気がします。』
『冷静に観ると、良い番組でしたね。
東野さんの小説というのは、どこかほろっとさせる。
大体が新参者の時は、「人情」がベースになっていますね。
お互いが最終的には思っていたんだ、みたいな。』
『最初にお店に東野さんがお見えになった時は、小説家だとは思わなくて。
すごく素敵な人なんですよ。黒っぽい服でおしゃれで。
それで編集者の方と来ているので、私はてっきり本の装丁家か何かと思っていました。』
『第4章の「時計屋の犬」、あの柴犬はうちの犬です。
うちの親方が散歩させていました。場面のアレンジですね。
そしてよく観察していましたね。
だから小説家ってすごいなって思いました。』
『主人役の寺島進さんはアロハ姿の衣装でしたね。』
『女将役の夏川結衣さんが、写真か何かを燃やすシーンの囲炉裏は、改装して今はありません。
プロデューサーの方が、こことここの部屋を貸してくださいって言われて、私たちはあまり立ち入っていませんので、夏川さんはお会いしていなかった気がするんですよね。』
インタビュー
ー 旦那が小僧を銀座へ連れて行って口止めをする、という下りは実際それに近いことはあったのですか?
『これは作り話ですね。』
ー 女将が土曜の仕事終わりに一人でバーに行ってタバコを吸う、というのは・・・
『撮影したのはロイヤルパークホテルですね。
(バーに行く)そういうことは私はそんなことしませんし、タバコも吸いません。
創作ですね。
ただ、「悩んでいる」というのを表現するには、タバコをくゆらすという行為は感じが出るんじゃないですかね。』
ー 章の最後に「あの子は使えますよ。料理の腕はいくらでも磨けますが、口がかたいというのは客商売を目指す者にとっては財産ですから。」とありますが。
『私が言っていたわけではないと思いますけれども、それは言えます。
必要なことなのかどうか、あとはいろいろな人に配慮ができるっていうことですね。
この場ではこの人には言わない方がいい、とか、そういう深い判断ができるということが、料理人でもサービスでも必要だと思いますね。』
ー 小説とドラマのモデルとしての反響はいかがでした?
『この小説はあまりにもよくできていますので、田舎のおかあさん(親方のお母様)が、びっくりしたらしいんですよ、これ本当?って。
(親方が遊び人、と書かれて)とても心配したみたいなんですよ。
これは小説、作り話、って説明しました。』
・・・志賀さん、ありがとうございました。
人形町 きく家さんにつきまして
きく家さんには本来決まった献立はございません。
食材を最大限に生かすことを念頭においておられる故。
その日その日仕入れた食材と向き合い一番良い料理を提供するにはどうしたら良いかを考え、また、お客様の様子などを伺いつつ最大限のおもてなしを目指して宴会を進められるそうです。
お越しの際はお電話にてご予約をお願いします。
地酒の種類は数百を超える、とのこと。
お好みの地酒に出会えそうです。
美味しい会席料理、そしてそれに合う日本酒。
女将を中心に心のこもった接客。
そしてそしてお料理・お酒の出てくるタイミング。
とても贅沢で心癒される時間を過ごすことができます。
おまかせコース 個室 16,000円~
おまかせコース カウンター席 8,000円~
ご予算としましてはこちらでお酒込みで10,000円~12,000円目安
サービス料10%、個室につきましては個室料がかかります。
お部屋ははなれを含めて8室、カウンターもございます。
人形町 きく家
日本橋人形町1-5-10
03-3664-9032
営業時間 17:30~22:30
定休日 日曜日・祝祭日・年末年始
人形町 きく家さんのホームページはこちら