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2025 暮の春「牡丹華(ボタンハナサク)」

 2025 暮の春「牡丹華(ボタンハナサク)」

 眩しさを覚える程の陽光に新緑が目に沁み、様々な花が咲き揃い、自然界の色も一気に明るさを増す中、一際華やかな存在感を放つのが「ボタン(牡丹)」です。「暮の春」とは、春も酣を過ぎ晩春の頃の趣を表わす言葉で、ボタンはこの季節を彩る大輪です。    ボタンは中国原産のボタン科ボタン属の落葉小低木。       一説では奈良時代に薬草として渡来したとされ、その後観賞用として栽培され、詩歌、文学、絵画の題材となり、衣装の文様や、焼き物、彫刻などの伝統工芸品のモチーフにされることも多く、親しまれてきました。                        幾重にも重なる絹のような光沢のある薄い膜質の美しい大輪で、見た目の華やかさが最大の特徴で、人々を魅了してきました。   「百花の王」「花王」と称され、「富貴」「風格」という花言葉に恥じない、庭木の女王に相応しい佇まいを見せます。                        元来七十二候「牡丹華」(4月30日~5月4日)の前後に花を付けるとされてきましたが、近年は早まり、今年も、浜離宮恩賜庭園 ボタン園内の約60種800株と聞く花々も既に咲き揃い始めています。      一般的な花色は赤、薄紅、白ですが、紫や黄など様々な色味の品種が作出され、花形も、一重咲き、八重咲き、千重咲き、万重咲き、平咲き、抱え咲き、獅子咲きと多彩です。              覆輪(外縁部が地と違う色で縁取り)、底赤(花弁の底部が濃紅色)、絞りといった花柄もあります。   咲き始め~咲き終わりまで20日程で「二十日草」とも呼ばれます。