2025 梅雨晴れ 清楚な白花に漂う芳しい香り
クチナシ(梔子)はアカネ科クチナシ属の常緑低木。 梅雨時に、咲き始めは、純白の花弁が黄色い花芯を中心に開き、葉が光沢のある緑色でコントラストが美しく、日が経つと徐々に淡黄白色に変色し、萎んでいきます。 ジンチョウゲ、キンモクセイと並び、三大芳香花(芳香樹/香木)に数えられ、甘いジャスミンのような芳香を放ち、古今東西を問わず多くの人を魅了し、庭木、切り花として利用されています。 秋に橙赤色に熟した果実は、サフランと同じクロシンという成分を含み、古来黄色の着色料として、料理や布地の色付けに利用され、漢方では「山梔子」の生薬名で処方されます。 クチナシの和名の語源は、①果実が熟しても裂開しないため、口が無い実の意 説、②細かい種子のある果実を梨、嘴状の萼を口に見立て、クチを備えたナシの意 説等、諸説あるようです。 将棋盤や碁盤の脚にクチナシの実がデザインされるのは、「打ち手は無言、第三者は勝負に口出し無用」との意が込められているとされます。嫁ぎ先がないという「嫁の口無し」の語呂合わせから、クチナシを庭に植えると縁談に恵まれなくなるという俗説もあるようです。 花木としては、大輪の八重咲きで香りの強い「オオヤエクチナシ」(別名ヤエクチナシ)が広く植栽されていますが実は付けません。 浜離宮恩賜庭園花木園内に植栽されているクチナシが周辺に芳香を漂わせ、存在感を放っています。
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