滅紫

「南北”沼”にハマる「盟三五大切」ー六月大歌舞伎

六月大歌舞伎が始まっています。「子連れ狼」や小川姓を名乗る播磨屋・萬屋一門勢揃いの「華舞於河賑」など話題豊富ですが、今回は夜の部の「盟三五大切」をご紹介します。

「盟三五大切」は忠臣蔵外伝のひとつでよく知られている「東海道四谷怪談」の続編として四世鶴屋南北が書き下ろし、文政8年(1825)に初演され大評判を取りましたが、その後上演が途絶え昭和51年(1976)に復活上演されました。復活上演以来今年で50年となります。

塩冶浪人の不破数右衛門は御用金紛失のため主家を追われ薩摩源五兵衛と名乗って長屋暮らし。深川芸者の小万となじみますが、小万は亭主である船頭の笹野屋三五郎が父親の旧主のための百両の金を調達するため、源五兵衛に叔父の富森助右衛門が討入りのために調達してくれた百両をだまし取ってしまいます。

夫婦に騙されたと知った源五兵衛が五人切り、小万のなぶり殺しと凄惨な殺人を犯していきますが、最後に衝撃の事実が。実は父親の旧主は?

薩摩源五兵衛と三五郎を勘九郎と尾上松也がダブルキャストで演じます。小万は七之助です。殺しの場面は凄惨ですがひとつひとつ形が決まり美しく「これぞ南北」といったところで「南北」の世界に心地よくハマってしまいました。なぶり殺しのあと、小万の首を懐に入れて長屋を出た処、激しい驟雨、雨で返り血が流される場面は本水で最前列の下手側の観客にはビニール袋が配られていました。「松也」版では雨ではなく「雪」になるそうです。見比べるのも楽しいですね。夫婦の転宅先が四谷怪談のお岩が住んでいたところという設定になっており、お岩の幽霊が出るというのも四谷怪談続編らしい楽しい趣向です。

復活上演された50年前は孝玉コンビのブームで併せて南北作品の上演も増えた時代です。国立劇場の昭和51年の復活時は源五兵衛が初代辰之助、三五郎が孝夫(現仁左衛門)、小万が玉三郎でした。その後も仁左衛門の当たり役です。

50年経ってまた「南北」沼にどっぷりハマる幸せな時間でした。

六月大歌舞伎の千穐楽は25日(18日休演)

昼の部 11時開演「祇園祭礼信仰記」「戻駕色相肩」「子連れ狼」

夜の部 16時30分開演「華舞於河賑」(俄獅子)「盟三五大切」

お問い合わせはチケットWEB松竹、チケットホン松竹0570-000-489へ