ちょっと気になる中央区の神社 ⑥
~ あづま稲荷神社 ~
リモートで、愛する中央区をナビゲートします、rosemary sea です。
「ちょっと気になる中央区の神社」シリーズ、4月28日の第5回より3か月ほどご無沙汰してしまいました。
第6回の今回は、あづま稲荷神社をご紹介します。
こちらは「銀座八丁神社巡り」の1社です。
それでは・・・
御由緒
戦後メインストリートとして発展した「あづま通り・三原小路」に火災が続発し町内の者も不思議に思い調査の結果、この一角にお稲荷さんが祀られていたことが判明。
そこで町内一同相談の上、京都伏見稲荷講中をつくり、「あづま稲荷大明神」と命名。
京都伏見稲荷大社にお参りし、御霊(みたま)を頂き氏神様山王日枝神社に御祈祷を願い、三原小路の方々の格別の御芳志により現在地に鎮座し、盛大にお祀りを致しましたところ、以降全く火事にあわず、霊験あらたかに今日に至っております。
年1回、初午(はつうま)の日に大祭を斎行し、街の発展と火防・盗難守護の祈願いたしております。
<初午の大祭ではまちの発展や火防を祈願>
戦後、京都伏見稲荷大社から分霊して祀った神社。
当時、あづま通りや三原小路では、たびたび火災が起っていたが、お祀りして以降は不思議と出なくなったといわれる。
毎年2月の最初の午の日には大祭を行い、まちの発展と火防・盗難守護を祈願している。
ー 歩いてわかる 中央区ものしり百科 より ー
金銀の鈴も輝いています。
今回も江戸古典落語をご披露させていただきます。
第43回です。
今回は、「三原小路」の「三」から連想できる「三年目」は2020年8月19日「人形町駅から行ける、静かな佇まいの神社」⑰ 中の第10回にて掲載済ですので、もうひとつの「三枚起請(さんまいきしょう)」をチョイスしました。
<事前確認コーナー>
都々逸(どどいつ)・・・
江戸末期からの、口語による定型詩。
通常、七・七・七・五の4句26文字で男女の情愛などをうたう。
今回ご紹介のもの「三千世界の・・・」は有名ですが、①最初の2行で説明した内容、は誤訳という人もおります。
いわゆる②「起請文(きしょうもん)は3枚1組、自分用・相手用・神様用、だから熊野神社の使いのカラスは1回起請文を破るごとに1枚1匹、都合3匹が死ぬ、故に数限りなく起請文を書いてきた私が貴方に寄り添うことで、世界中のカラスが死んでしまおうと構わない」との解釈。
それと③花魁の気持ちになって高杉晋作が詠んだ、いや桂小五郎だ、日下玄播(くさかげんば)だ、という説もあります。
ロズマリとしましては、①②③全てを含んで趣きのある歌、と思っています。
起請文・・・
人が契約を交わす際、それを破らないことを神仏に誓う文書。
ここでは遊女が客との間で熊野誓紙を取り交わし、将来の結婚を約束すること。
「三枚起請」
昔はカラスが朝早くから鳴いてうるさかったそうです。
『三千世界の烏を殺し、主(ぬし:あなた)と朝寝がしてみたい』と歌った都々逸もあったほど。
唐物屋の若旦那、亥(い)のさん、遊びが過ぎるとのことで母親が心配し、棟梁に聞いてもらうことに。
亥のさん、吉原の花魁「喜瀬川」から、「年期があけたら夫婦(めおと)になる」という起請文ををもらっていると得意顔。
ところが、棟梁も喜瀬川から同じ起請文をもらっていました。
そこへ来たのが「おしゃべり清公」。
二人の話を聞くと、自分も三人目の犠牲者、と。
特に清公は金を貢いでいました。金は日本橋に奉公している妹に、無理に作らせたもの。
三人はだまされた仕返しをしようと計画します。
棟梁が茶屋に喜瀬川を呼び出します。亥のさんは屏風の裏に、清公は戸棚に隠れます。
棟梁「亥のさんにも誓紙を書いたね」
喜瀬川「あー、白くてぶくぶくふくれて、水がめに落っこちたおまんま粒みたいな」
棟梁「水がめに落っこちたおまんま粒、出て来な」、屏風の裏から亥のさん、飛び出します。
喜瀬川「二人だけだよ」
棟梁「清公にも書いたね」
喜瀬川「あー、ひょろひょろと背の高い、日陰の桃の木みたいな、キザなやつ」
棟梁「日陰の桃の木、出て来な」、被害者三人が揃います。
棟梁「うその起請を書くと、熊野でカラスが三羽死ぬ、という。罪なことをするな」
喜瀬川「あーそうかい、あたしはうその起請をいっぱい書いて、世界中のカラスを殺したい」
棟梁「それでどうする?」
喜瀬川「朝寝がしたい」
あづま稲荷神社
銀座5-9-19
東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線 銀座駅 A5出口を出て直進、次の「あづま通り」を右折、約30m先の「三原小路」を入った左側にあります。