夜の中央区:石井幹子氏の作品巡り
夜の中央区の見所は、銀座のネオンサインだけではありません。国際的な照明デザイナー石井幹子氏の作品群を、中央区で鑑賞することができます。
隅田川橋梁群
2022年(令和4年)1月1日現在、東京都の管理する橋では隅田川で12橋がライトアップされています。
- 2020年にライトアップを開始した6橋:築地大橋・勝鬨橋・佃大橋・清洲橋・吾妻橋・白鬚橋
- 2020年にライトアップをリニューアルした4橋:永代橋・蔵前橋・厩橋・駒形橋
- 平成の時代に整備された2橋:中央大橋・新大橋
2020年に行われた10橋の景観照明の整備は、東京2020大会オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を機に進められた「ホストシティTokyoプロジェクト」の一環で、石井幹子氏が手がけています。石井幹子デザイン事務所のHPによると、「橋そのものの構造美及び色彩を生かす」という基本方針のもと、「日本の美の継承と東京のダイナミズムによる新たなる時空の創造」をデザインコンセプトに検討が進められました。石井幹子氏がライトアップをデザインした10橋のうち5橋(上の写真左から、築地大橋・勝鬨橋・佃大橋・永代橋・清洲橋)が中央区にあります。
石井幹子デザイン事務所のHP
https://www.motoko-ishii.co.jp/ja/works03-1.html#close
築地大橋
竣工2014年(平成26年)。隅田川で最も下流に位置する、最も新しい橋梁。環状2号線豊洲・築地間の暫定開通に伴い、豊洲大橋とともに開通しました。外側に傾斜させた開放的で斬新なアーチを鮮やかに彩るライトアップです。
勝鬨橋
竣工1940年(昭和15年)。国重要文化財。日本に現存する数少ない跳開橋(1970年11月29日を最後に開閉が停止)。白色光のグラデーションの照明によって、格調の高さが美しく浮かび上がるライトアップです。
佃大橋
竣工1964年(昭和39年)。同年の東京オリンピック開催に向けた関連道路の一部として建設されました。隅田川橋梁群で唯一の箱桁の橋。そのシンプルで力強い箱桁をストレートに表現したライトアップです。
永代橋
竣工1926年(大正15年)。国重要文化財。ドイツ・ライン川に架かっていたレマゲンの鉄橋(現存せず)をモデルに建設されました。重量感あふれる雄大なタイドアーチをダイナミックに演出したライトアップです。
清洲橋
竣工1928年(昭和3年)。国重要文化財。ドイツ・ライン川に架かっていたケルンの吊橋(現存せず)をモデルに建設されました。自碇式チェーン吊橋ならではの優美な曲線を描くアーチを生かしたライトアップです。
歌舞伎座
竣工2013年(平成25年)。設計は隈研吾氏と三菱地所設計。照明設計は石井幹子氏と一人娘の石井リーサ明理氏。歌舞伎座としては5代目の建物で、4代目の歌舞伎座の外観と内観を受け継ぎました。
歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人(かぶきびと)」のニュース(2013年2月15日)によると、年間を通して移ろいゆく季節感を白色光のバリエーションで表現するため、冬は暖白色、春と秋は温白色、夏は純白色と、3種類の白い光を使い分けてライトアップ。さらに、宵パターンはフル点灯、夜パターンはハーフ点灯、深夜パターンは一部点灯と、一晩で3つの変化があり、年間で全9種類の照明が展開されています。
※上の写真左は2021年12月17日18時頃に撮影、右は同年12月26日23時頃に撮影。
歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」
https://www.kabuki-bito.jp/news/2078
ちなみに、2016年(平成28年)にリノベーションされた築地KYビル(住所:中央区築地4-7-5)の照明デザインは、石井リーサ明理氏が担当しました。ファサード(正面の外観)の木目柄アルミパネルの裏には、赤褐色(レッドオーカー)のLED照明が設置されています。かつての下町の木造建築を意識した暖かいライトアップです。
東京タワーとレインボーブリッジ
東京タワーとレインボーブリッジは隣区にありますが、石井幹子氏がデザインしたライトアップを中央区から鑑賞することができます。夜の中央区は、まさに見所満載です。
※上の写真左は東京タワー(温かみのあるオレンジ色のライトを使用したランドマークライト冬バージョン)、右はレインボーブリッジ(主塔が温かみのある白色の冬パターン)。