はじめ

ちょっと気になるビル@交詢社通り

以前、ブログ記事「電通本社ビル三代(2021年1月)」で取り上げた先々代の電通本社ビル(竣工:1933年)。築地にある先代の電通本社ビル(竣工:1967年)は解体工事が進行中ですが、外堀通りと交詢社通りの角に建つ先々代はいまも健在です。今回はこの機能主義的なアメリカスタイルのビルの角を曲がり、交詢社通り沿いにある、ちょっと気になるデザインのビルをご紹介します。

 ちょっと気になるビル@交詢社通り

※写真左から、電通銀座ビル(先々代の電通本社ビル)、ルイ・ヴィトン銀座並木通り店、交詢ビルディング、丸嘉ビル。

ルイ・ヴィトン銀座並木通り店

ルイ・ヴィトン銀座並木通り店 ちょっと気になるビル@交詢社通り

2021年3月にリニューアルオープンしたルイ・ヴィトン銀座並木通り店は、波打つガラスの外壁が印象的です。眺める角度や光の加減で色が変化する外壁の曲線は水面の揺らぎのようで、ビル全体で「水の柱」を表現しています。設計は、ルイ・ヴィトン店舗ビルのデザインを数多く手掛けている青木淳です。

 ちょっと気になるビル@交詢社通り

ルイ・ヴィトン銀座松屋店の外装(2013年にリニューアル)も青木淳が設計したもので、ルイ・ヴィトンの「ダミエ」と呼ばれる市松パターンが、アールデコ調で表現されています。

交詢ビルディング

交詢ビルディング ちょっと気になるビル@交詢社通り

交詢社通りという道路愛称名は、この通り沿いに1880年、福沢諭吉が日本初の会員制社交クラブ、交詢社を設立したことにちなんだものです。先代の交詢ビルディングは、先々代が関東大震災で被災した後、1929年に建てられた歴史的建造物だったため、2004年に現在のビルに建て替える際にファサード保存(建築物の正面や正面の一部を保存)という手法が採られました。

 ちょっと気になるビル@交詢社通り

ファサード保存は近年の再開発で多く見られる手法で、中央区では他に日本橋ダイヤビルディング(竣工:2014年)などで採用されています。

丸嘉ビル

丸嘉ビル ちょっと気になるビル@交詢社通り

交詢ビルディングの向かいにある丸嘉ビル。1929年の竣工当時は、袋物商の老舗、丸嘉商店の建物でした。設計は、日本統治時代の台湾で活躍した建築家、森山松之助。1999年にピアジェの店鋪として改装され、さらに2017年にはボンポワンのコンセプトストアとしてリニューアルされました。アールデコ調のテラコッタ装飾(焼き物を使った装飾)といったオリジナルの意匠を残しながら、小ぶりなサイズも手伝って、軽快で洒落た印象を受けます。

 ちょっと気になるビル@交詢社通り

銀座2丁目に建つヨネイビルディング(竣工:1930年)も森山松之助が設計したもので、丸嘉ビルに比べると重厚な佇まいです。